[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1955年(昭和30年)東京大学-数学(幾何)[2]

2022.02.10記

[2] 定直線  l とこれに接する定円  \rm O とがある.この円の任意の直径の両端を通り定直線  l に接する円の中心の軌跡を求めよ.またその図をえがけ.

2022.02.10記
座標設定して「束」を使おう。

[解答]
ly=-r,円  \rm Ox^2+y^2=r^2r\gt 0)とする。

条件をみたす円を {\rm O'}:(x-X)^2+(y-Y)^2=(Y+r)^2Y\gt 0) とおくと,円 {\rm O'} と円  \rm O が異なる2点で交わるとき,その2点を通る直線の方程式は
(x-X)^2+(y-Y)^2-(x^2+y^2)=(Y+r)^2-r^2
つまり
2Xx+2Yy=X^2-2rY
となる。この直線(但し(X,Y)=(0,0)のときは直線を表さない)を m とする。

このとき,円 {\rm O'} と円  \rm O が異なる2点で交わることと,円  \rm O と直線 m が異なる2点で交わることは同値である。よって,m が円 \rm O の直径となるならば円 {\rm O'} と円  \rm O は必ず異なる2点で交わる。

m が,円 \rm O の直径となる必要十分条件(X,Y)\neq (0,0) かつ原点を通ること,つまり

X^2-2rY=0 かつ (X,Y)\neq (0,0)

となる。ここで (X,Y)=(0,0) のとき,円 {\rm O'} と円  \rm O が一致するので,題意をみたすので
求める軌跡は放物線 x^2=2ry 全体となる。

この放物線の焦点は \left(0,\dfrac{r}{2}\right) であり,準線は y=-\dfrac{r}{2} である。