[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1956年(昭和31年)東京大学-数学(解析II)[3]

2022.02.10記

[3] 10n 本のくじの中に当りくじが n 本ある.

(1) このくじを10 本引いて,そのうちの1 本だけが当りくじである確率p_n を求めよ.

(2) \displaystyle\lim_{n\to\infty} p_n を求めよ.

2022.02.10記

[解答]
(1) p_n=\dfrac{{}_{9n}\mbox{C}_{9}\cdot{}_{n}\mbox{C}_{1}}{{}_{10n}\mbox{C}_{n}}
=\dfrac{{}_{9n}\mbox{P}_{9}}{{}_{10n-1}\mbox{P}_{9}} である。

(2) p_n=\dfrac{9}{10-\dfrac{1}{n}}\cdot\dfrac{9-\dfrac{1}{n}}{10-\dfrac{2}{n}}\cdot\dfrac{9-\dfrac{8}{n}}{10-\dfrac{9}{n}}
であるから,
\displaystyle\lim_{n\to\infty} p_n=\left(\dfrac{9}{10}\right)^9
となる.

n\to\infty の極限では,非復元抽出を復元抽出とみなして良いことになり,当たる確率が \dfrac{1}{10} のくじを10回引いたときに1回だけ当たる確率
{}_{10}\mbox{C}_{1}\left(\dfrac{1}{10}\right)^1\left(\dfrac{9}{10}\right)^9
に収束するという訳である。