[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1959年(昭和34年)東京大学-数学【数学I幾何】(新課程)[1]

2024.02.24記

[1] 二つの円弧 \mbox{AC}_1\mbox{B}\mbox{AC}_2\mbox{B} が弦 \mbox{AB} の同じ側にあって,いずれも半円より大きいとする.\mbox{A} を通る直線 l が弧 \mbox{AC}_1\mbox{B}\mbox{AC}_2\mbox{B} と交わる点をそれぞれ \mbox{P}_1\mbox{P}_2 とすれば,l がどのような位置にあるとき線分 \mbox{P}_1\mbox{P}_2 の長さが最大となるか.

2024.11.10記

[解答]
円弧 \mbox{AC}_1\mbox{B}\mbox{AC}_2\mbox{B} を含む円をそれぞれ O_1O_2 とする.

円周角の定理により \angle\mbox{P}_2\mbox{P}_1\mbox{B}=\pi-\angle\mbox{AP}_1\mbox{B}
\angle\mbox{P}_1\mbox{P}_2\mbox{B}=\angle\mbox{AP}_1\mbox{B} は一定であるから,\triangle\mbox{P}_1\mbox{P}_2\mbox{B} は常に相似な三角形となる.

よって,\mbox{P}_1\mbox{P}_2 が最大となるのは,\mbox{P}_2\mbox{P}_B が円 O_2 の直径となるときであり,このとき \mbox{P}_1\mbox{P}_B が円 O_1 の直径となる.

このとき,l\rm AB に垂直である.

座標にも載せておこう.

[別解]
\mbox{A}(0,0)\mbox{B}(2,0) とし,2つの円を
(x-1)^2+(y-p)^2=1+p^2
(x-1)^2+(y-q)^2=1+q^2p\lt q
とする.

(i) ly=mx とおくと
(1+m^2)x^2-2(1+pm)x=0
から \mbox{P}_1x 座標は \dfrac{2(1+pm)}{1+m^2} となり,同様に \mbox{P}_2x 座標は \dfrac{2(1+pm)}{1+m^2} となる.
よって
\mbox{P}_1\mbox{P}_2{}^2=(1+m^2)\cdot \left(\dfrac{2(q-p)m}{1+m^2}\right)^2=4(q-p)^2\left(1-\dfrac{1}{1+m^2}\right)\lt 4(q-p)^2
である.

(ii) lx=0 とおくと \mbox{P}_1(0,2p)\mbox{P}_2(0,2q) であるから,\mbox{P}_1\mbox{P}_2{}^2=4(q-p)^2 である.


以上から,lx=0,つまり l\rm AB に垂直であるとき \mbox{P}_1\mbox{P}_2 は最大となる.