[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1959年(昭和34年)東京大学-数学(新課程)

2024.02.24記

以下の4科目から3科目選択

数学I代数】

[1] 平面上の点 (x,y)x'=2x+yy'=3x+2y によって定まる点 (x',y') を対応させる.

(i) 四点 (0,0)(a,0)(0,b)(a,b) を頂点とする長方形は,この対応によってどのような図形にうつるか.図をかいて説明せよ.ただし a\gt 0b\gt 0 とする.

(ii) その図形の面積ともとの長方形の面積との比を求めよ.

[2] 井戸に小石を落としたところ,小石が水面に達した音が t 秒後に聞こえた.

(i) 重力の加速度を g\,\mbox{m/秒}^2,音の速度を c\,\mbox{cm/秒},地面から水面までの距離を d\,\mbox{m} とするとき,dgct で表わせ.ただし空気の抵抗は無視するものとする.

(ii) 音が伝わるのに要する時間を無視すれば,d の近似値として d'=\dfrac{1}{2}gt^2 が得られる.

このとき,相対誤差 \dfrac{d'-d}{d} が与えられた正数 \alpha より小さくなるためには,tgc\alpha によって定まるある限界より小さくなければならない.この限界を求めよ.

数学I幾何】

[1] 二つの円弧 \mbox{AC}_1\mbox{B}\mbox{AC}_2\mbox{B} が弦 \mbox{AB} の同じ側にあって,いずれも半円より大きいとする.\mbox{A} を通る直線 l が弧 \mbox{AC}_1\mbox{B}\mbox{AC}_2\mbox{B} と交わる点をそれぞれ \mbox{P}_1\mbox{P}_2 とすれば,l がどのような位置にあるとき線分 \mbox{P}_1\mbox{P}_2 の長さが最大となるか.

[2] \triangle\mbox{ABC} の内部に \triangle\mbox{A}'\mbox{B}'\mbox{C}' をとり,その三辺 \mbox{A}'\mbox{B}'\mbox{B}'\mbox{C}'\mbox{C}'\mbox{A}' はそれぞれ
\triangle\mbox{ABC} の三辺 \mbox{AB}\mbox{BC}\mbox{CA} に平行で,対応する辺の間の距離はいずれも h であるとする.\triangle\mbox{A}'\mbox{B}'\mbox{C}' の周が \triangle\mbox{ABC} の周の \dfrac{1}{2} であるとき,habc で表わせ.ただし a=\mbox{BC}b=\mbox{CA}c=\mbox{AB} とする.

fig

数学II

[1] 時刻 t における点 \mbox{P} の位置 (x,y) がつぎの方程式(i),(ii),(iii),(iv)によって与えられている.各場合について,t0 から 2\pi まで変わるとき点 \mbox{P} のえがく軌跡を下の例にならって図示せよ.


\left\{
\begin{array}{l}
x=t \\
y=t-\dfrac{1}{2}gt^2
\end{array}
\right.(0\leqq t\leqq\dfrac{2}{g})

Fig

(i) \left\{\begin{array}{l}
x=\cos t \\
y=2\cos\left(t+\dfrac{\pi}{2}\right)
\end{array}\right.

(ii) \left\{\begin{array}{l}
x=\cos t \\
y=\cos(t+\pi)
\end{array}\right.

(iii) \left\{\begin{array}{l}
x=\cos t \\
y=\cos 2t
\end{array}\right.

(iv) \left\{\begin{array}{l}
x=\cos t \\
y=2\cos\left(2t+\dfrac{\pi}{2}\right)
\end{array}\right.

[2] ab は実の定数で,a\lt b である.このとき,t を任意の正の数とすれば z に関する二次方程式
\dfrac{1}{t}(z-a)^2+t(z-b)^2=0
は虚根をもつ.それらを x+yix-yixy は実数で y\gt 0)とすれば,t が正の範囲を動くとき点 (x,y) はどのような曲線をえがくか.それを図示せよ.

数学III

[1] ab を実の定数とするとき,定積分
\mbox{I}(a,b)=\displaystyle\int_{0}^{\pi}(1-a\sin x-b\sin 2x)^2\,dx
を求めよ.また \mbox{I}(a,b) を最小にする ab の値を定めよ.

[2] xy 平面上の点 (0,a)\mbox{P},直線 y=ag とする.g を含みy軸に垂直な平面上に,\mbox{P} を中心とし g と角 60^{\circ} をなす長さ 2b の線分 \mbox{AB} をとり,\mbox{A}\mbox{B} から x 軸に下ろした垂線の足をそれぞれ \mbox{C}\mbox{D} とする.ねじれ四辺形 \mbox{ABDC}x 軸のまわりに回転するときできる立体の体積を求めよ.

fig