[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1966年(昭和41年)東京大学-数学(理科)[2]

2020.09.29記

[2] 平面上のある直線 lの上の任意の点(x,y)に対し,点(4x+2y,x+3y)がふたたび l の上にあるという.このような直線 l をすべて求めよ.

2020.09.29記
線型変換の不動直線の問題.

\begin{pmatrix} 4 & 2 \\ 1& 3 \end{pmatrix}固有値ともに0,1 でなく,固有ベクトル\begin{pmatrix} 2 \\ 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} 1 \\ -1 \end{pmatrix} であることから,y=\dfrac{1}{2}x,y=-x となる.

2022.05.02記

[解答]
直線の方程式が x=k のとき,(4k+2y,k+3y)x 座標は一定ではないので不適である.よって直線の方程式を y=mx+n として良い.

このとき,y=mx+n 上の任意の点 (x,y)=(t,mt+n) に対して
x+3y=m(4x+2y)+n
つまり
(3m+1)t+3n=2m(m+2)t+(2m+1)n
が成立するので,これは t に関する恒等式である.よって
3m+1=2m(m+2)3n=(2m+1)n
である.前者から m=-1,\dfrac{1}{2}であり,よって後者から
(m,n)=(-1,0),\left(\dfrac{1}{2},0\right)
となる.すなわち
y=-x,\dfrac{1}{2}x となる.

直線の方程式を ax+by+c=0 とおくと,a:b:c が同じであれば同じ直線を表すので,値ではなく比に関する方程式となることから,本問の場合は少し面倒になる.