[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1972年(昭和47年)東京大学-数学(理科)[5]

[5] h(x)-\infty\lt x\lt \infty2微分可能なある関数で,f(x) がどのような一次関数であっても,
\displaystyle u(x)=\int_{0}^{x} h(t)f(t)\,dt+ h(x)\int_{x}^{1} f(t)\,dt
おけば,
(1) \dfrac{d^2u}{dx^2}=f(x)
および
(2) u(0)=0
が成り立つ.

このとき,h(x) を求めよ.

2021.10.10記

[解答]

(1)を2回微分すると,
\displaystyle u'(x)=h(x)f(x)+h'(x)\int_{x}^{1} f(t)\,dt-h(x)f(x)=h'(x)\int_{x}^{1} f(t)\,dt
\displaystyle u''(x)=h''(x)\int_{x}^{1} f(t)\,dt-h'(x)f(x)
となるので
\displaystyle f(x)=h''(x)\int_{x}^{1} f(t)\,dt-h'(x)f(x)
が任意の1次関数 f(x) について成立する.よって,f(x)=1,x のときに成立することが必要であり,
\displaystyle 1=h''(x)\int_{x}^{1} 1\,dt-h'(x)\displaystyle x=h''(x)\int_{x}^{1} t\,dt-xh'(x)
が成立することが必要であるが,定積分の線型性により,この2つが成立すれば任意の1次関数についても成立するので必要十分.よって,任意のxについて
\displaystyle 1=h''(x)(1-x)-h'(x)…(i),\displaystyle x=h''(x)\dfrac{1-x^2}{2}-xh'(x)…(ii)
が成立する.2x\times(i)-2\times(ii) より,
h''(x)(2x-1)=0
が任意のxについて成立するので,h''(x)=0 となり,(i)から h'(x)=-1 となる.
(2)よりh(0)=0 だから,h(x)=-x となる.

同値性に混乱する人のために注意しておく.

「(1) と与えられた条件」は、h'(x)=-1と同値であり,
「(2) と与えられた条件」は、h(0)=0と同値であるから,

「(1)(2) と与えられた条件」は、h'(x)=-1かつh(0)=0と同値となり,よってh(x)=-x と同値となる.