2022.11.03記
(1) 関数 ()は, を満たす微分可能な関数で, も連続な関数とする. に対して とおくとき,
, を , を用いて表せ.
(2) (1)の に対して,
を示せ.また,等号が成り立つときの を求めよ.
(3) 曲線 ()がある.に対して,, は共に微分可能で,, は連続とし, を満たす.更に, に対して,,また ,を満たすとする.このとき, と 軸で囲まれる部分の面積を とすれば, が成り立つことを示せ.また,等号が成り立つときの を図示せよ.
等周不等式の初等的は理解として Steiner の方法などが有名であるが,周の長さが一定の単純閉曲線で囲まれる部分の面積が最大値をもつならば,それは円であるというような最大値をもつことが仮定されている.本問では微分可能な曲線の中では最大値が存在し,それが円に限る(本問の場合は半円)ことの証明となっている.
2022.11.03記
(3)は(1)(2)の の境界条件が の境界条件に対応していることから,(2)の を に変えることを考える.
(1) であるから,
であるから,
(2) より
であるから,
となり,
が成立する.等号成立は が積分区間で恒等的に0となるときであるから,,つまり が定数関数のとき.すなわち
(は定数)
と書けるとき.
(3) である. は(1)の条件をみたしているので,(2)より
が成立する.よって条件より
つまり
が成立する.よって両辺に
を減ずることにより,
が成立し,左辺は非負の値であるから
,つまり
が成立する.
等号成立は,
が恒等的に0
かつ
とかけることから
となり, とから であり, から となるので,
,
となる.
よって, は中心 ,半径 の円の の部分(半円)となる(図示略)
極限の順番の問題などから,厳密さに欠けるが,実用上では以下の解答もアリだろう.
(3) は(1)の条件をみたしているので,(2)より
が成立する.積分のシュワルツの不等式により
が成立する.AM-GM不等式により
が成立する.つまり が成立する.
等号成立は,最初の不等号において とかけること,
2番目の不等号において が の定数倍となる とかけること、
最後の不等号において
が成立することだから,
, のときである.
等周不等式については,
第2種完全楕円積分の思い出 - 球面倶楽部 零八式 mark II
も参照のこと.
また,等周不等式の証明と等号成立条件についてはフーリエ級数展開を利用する Hurwitz の方法も知られている.
troy-sugaku-t.hatenablog.com
また,ミンコフスキー和を用いた証明も知られている(この証明と等価なものを初めて知ったのは栗田稔先生の本だったように思う)
ACTION, MINKOWSKI ADDITION, AND TWO PROOFS OF THE ISOPERIMETRIC INEQUALITY(pdf)