[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1980年(昭和55年)東京大学-数学(文科)[4]

2023.08.22記

[4] aba^2-b^2=-1 をみたす定まった実数とし,I=\begin{pmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 1 \end{pmatrix}A=\begin{pmatrix} a & -b \\ -b & -a \end{pmatrix}とおく.実数の組 (x,y) について Z=xI+yA とおき,この Z に対して Z'=xI-yA とおく.また零行列を O で表す.

(1) 等式 ZZ'-Z-Z'-3I=O ……(*)をみたすすべての Z に対する点 (x,y) のつくる曲線を図示せよ.

(2) x^2+y^2\neq0 のとき,Z逆行列 Z^{-1} があって uI+vA の形に表されることを示せ.
また,等式(*)をみたすすべての Z に対する点(u,v) のつくる曲線を図示せよ.

本問のテーマ
反転

2020.11.26記

反転

[大人の解答]
(1) A^2=-I だから,
Z\mapsto z=x+yiZ'\mapsto \bar{z}=x-yi
に対応する.
z\bar{z}-z-\overline{z}-3=0(z-1)\overline{(z-1)}=4,つまり |z-1|=2 と変形できるので (x,y)(1,0) 中心半径2の円を描く.

(2) z^{-1}=\dfrac{\overline{z}}{|z|^2} だから Z^{-1}=\dfrac{xI-yA}{x^2+y^2}

z\mapsto z^{-1} は単位円に関して反転して実軸対称移動を行なったものだから,(-1,0),(3,0)を直径とする円は (-1,0),\Bigl(\dfrac{1}{3},0\Bigr)を直径とする円にうつる.