[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1982年(昭和57年)東京大学-数学(理科)[6]

2023.08.23記

[6] サイコロが1の目を上面にして置いてある.向かいあった一組の面の中心を通る直線のまわりに90^{\circ} 回転する操作をくりかえすことにより,サイコロの置きかたを変えていく.ただし,各回ごとに,回転軸および回転する向きの選びかたは,それぞれ同様に確からしいとする.

n 回目の操作のあとに1の目が上面にある確率を p_n,側面のどこかにある確率を q_n,底面にある確率を r_n とする.

(1) p_1q_1r_1 を求めよ.

(2) p_nq_nr_np_{n-1}q_{n-1}r_{n-1} で表わせ.

(3) p=\displaystyle\lim_{n\to\infty}p_nq=\displaystyle\lim_{n\to\infty}q_n
r=\displaystyle\lim_{n\to\infty}r_n を求めよ.


本問のテーマ

2020.11.26記

十分時間が経つと,どの向きを向いている確率も同じ\dfrac{1}{6} に収束するという話.

[解答]
(1) p_1=\dfrac{1}{3},q_1=\dfrac{2}{3},r_1=0

(2) 遷移図を考えて
 p_n=\dfrac{1}{3}p_{n-1}+\dfrac{1}{6}q_{n-1}
 q_n=\dfrac{2}{3}p_{n-1}+\dfrac{2}{3}q_{n-1}+\dfrac{2}{3}r_{n-1}
 r_n=\dfrac{1}{6}q_{n-1}+\dfrac{1}{3}r_{n-1}

(3) p_{n-1}+q_{n-1}+r_{n-1}=1 と2番目の式から q_n=\dfrac{2}{3}(一定) となり,p_n=\dfrac{1}{3}p_{n-1}+\dfrac{1}{9} となる.この漸化式は公比 \dfrac{1}{3}等比数列に帰着されるので収束し,極限値p=\dfrac{1}{3}p+\dfrac{1}{9},つまり p=\dfrac{1}{6} である.よって r_n1-\dfrac{1}{6}-\dfrac{2}{3}=\dfrac{1}{6} に収束する.