[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2021年(令和3年)九州大学前期-数学(理系)[1]

[1]

座標空間内の4点 {\rm O}(0, 0,0){\rm A}(1,0,0){\rm B}(0,1,0){\rm C}(0, 0, 2) を考える.以下の問いに答えよ.

(1) 四面体 {\rm OABC} に内接する球の中心の座標を求めよ.

(2) 中心の x 座標,y 座標,z 座標がすべて正の実数であり,xy 平面,yz 平面,zx 平面のすべてと接する球を考える.この球が平面 {\rm ABC} と交わるとき,その交わりとしてできる円の面積の最大値を求めよ.

2021.03.17記

[解答]

(1) 四面体 {\rm OABC} に内接する球の中心の x 座標,y 座標,z 座標はすべて正の実数であり,球は xy 平面,yz 平面,zx 平面のすべてと接するので,球の中心の座標は (r,r,r) とおくことができる.

これと平面 \rm ABC である 2x+2y+z-2=0 の距離に関して,球の中心が負領域にあることから,\dfrac{2-5r}{3}=r となり,r=\dfrac{1}{4} となる.よって求める座標は \Bigr(\dfrac{1}{4},\dfrac{1}{4},\dfrac{1}{4}\Bigr)

(2) (r,r,r) 中心半径 r の球の中心が 2x+2y+z-2=0 の正領域にあって接する場合は\dfrac{5r-2}{3}=r となり,r=1 となるので, (r,r,r) 中心半径 r の球が平面 \rm ABC と共有点をもつ条件は \dfrac{1}{4}\leqq r\leqq 1 であり,このとき,交わりの円の面積は \pi\Bigl\{r^2-\Bigl(\dfrac{5r-2}{3}\Bigr)^2\Bigr\} となる.これは r^2 の係数が負の r の2次関数であり,r=\dfrac{1}{4},1 で0となることから,軸 r=\dfrac{1}{2}\Bigr(\dfrac{1}{4}+1\Bigr)=\dfrac{5}{8} で最大となり,最大値は \dfrac{\pi}{4} となる.

原点と平面 \rm ABC の距離 \dfrac{2}{3} に着目すると,内接するときの半径 r と外接するときの半径 R に関して比例関係
\dfrac{2}{3}:\dfrac{2}{3}+2R=\dfrac{2}{3}-2r:\dfrac{2}{3}
が成立するので,r=\dfrac{1}{4} から R=1 となる.