[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1986年(昭和61年)東京大学-数学(理科)[5]

2023.08.29記

[5] ベンチが k+1 個一列に並べてあり,\mbox{A}\mbox{B} の二人が次のようなゲームをする.最初 \mbox{A} は左端,\mbox{B} は右端のベンチにおり,じゃんけんをして勝った方が他の端に向って一つ隣りのベンチに進み,負けた方は動かないとする.また二人が同じ手を出して引き分けとなったときには,二人とも動かないとする.こうしてじゃんけんを繰返して早く他の隣のベンチに着いた者を勝ちとする.一回のじゃんけんで,\mbox{A} が勝つ確率,負ける確率,引き分けとなる確率はすべて等しいとき,次の確率を求めよ.

(1) n 回じゃんけんをした後に,二人が同じベンチに座っている確率 q

(2) n 回じゃんけんをしたとき,\mbox{A}\mbox{B} の移動回数がそれぞれ x 回,y 回である確率 p(x,y)

(3) k=3 のとき n 回のじゃんけんの後に,まだゲームの勝敗がきまらない確率 p,ただし n\geqq3 とする.

2020.12.14記
消化試合をやるのかどうか?というのは謎ですが、大数では「勝負がついたらそこでゲームは終わり、と考えるのが常識です」とある.安西せんせい、、、数学が、したいです.

こういった曖昧な設定のときは、とりあえず立場を明確にして答案を書くしかないでしょう。

ここでは、「勝負がついたらそこでゲームは終わり、と考えるのが常識です」とのことですので、その状況で考えることにしましょう.

面倒なので、落ち着いたときにやろう。

2023.08.30記

[解答]
(1) (i) n\lt k のときは勝負がつかないので,確率0

(ii) n\geqq k のとき

n 回中、n-k 回引き分けで、k 回勝負がつく.ただし,n-1回以前に両端のベンチに二人が座っている場合を除く.

と考える.p=\dfrac{1}{3},q=\dfrac{2}{3} として,

n 回中、n-k 回引き分けで、k 回勝負がつく確率は {}_n\mbox{C}_k p^{n-k} q^k であり,

n-1回以前に右端のベンチに二人が座っている確率は、n-1回のうちに A が k 勝,B が 0 勝,n-k-1 引き分けとなっており、n 回目も引き分けとなる場合だから,
 {}_{n-1}\mbox{C}_k p^{k} p^{n-1-k}\cdot\dfrac{1}{3}
となり,左端も同様.

よって求める確率は
{}_n\mbox{C}_k p^{n-k} q^k - 2\cdot {}_{n-1}\mbox{C}_k p^{k} p^{n-1-k}\cdot\dfrac{1}{3}
=\dfrac{{}_n\mbox{C}_k 2^k - 2\cdot {}_{n-1}\mbox{C}_k}{3^n}

(2) (i) x\lt ky\lt k のとき
A が x 回,B が y 回勝ち,引き分けが n-x-y 回 起こる確率だから
\dfrac{{}_n\mbox{C}_{x}\cdot{}_{n-x}\mbox{C}_{y}}{3^n}=\dfrac{n!}{3^n x! y! (n-x-y)!}

(ii) x=ky\lt k のとき
最後の n 回目に A が勝ち,それ以前にA が x-1 回,B が y 回勝ち,引き分けが n-x-y+1 回 起こる確率だから
\dfrac{{}_{n-1}\mbox{C}_{x-1}\cdot{}_{n-x}\mbox{C}_{y}}{3^n}=\dfrac{(n-1)!}{3^n (x-1)! y! (n-x-y+1)!}

(iii) x\lt ky=k のとき
最後の n 回目に B が勝ち,それ以前にA が x 回,B が y-1 回勝ち,引き分けが n-x-y+1 回 起こる確率だから
\dfrac{{}_{n-1}\mbox{C}_{x}\cdot{}_{n-x}\mbox{C}_{y-1}}{3^n}=\dfrac{(n-1)!}{3^n x! (y-1)! (n-x-y+1)!}
((ii)で x,y を入れ換えた結果になる)

(3) 決着がついていないので,全てp(x,y)=\dfrac{n!}{3^n x! y! (n-x-y)!}

p=p(0,0)+p(0,1)+p(0,2)+p(1,0)+p(1,1)+p(1,2)+p(2,0)+p(2,1)+p(2,2)
=\dfrac{n!}{3^n \cdot n!}+\dfrac{n!}{3^n \cdot (n-1)!}+\dfrac{n!}{3^n \cdot 2 \cdot (n-2)!}+\dfrac{n!}{3^n \cdot(n-1)!}+\dfrac{n!}{3^n\cdot(n-2)!}+\dfrac{n!}{3^n\cdot 2 \cdot(n-3)!}+\dfrac{n!}{3^n \cdot2\cdot (n-2)!}+\dfrac{n!}{3^n \cdot2 \cdot(n-3)!}+\dfrac{n!}{3^n\cdot 4\cdot (n-4)!}
=\dfrac{4+4n+2n(n-1)}{4\cdot 3^n}+\dfrac{4n+4n(n-1)+2n(n-2)(n-3)}{4\cdot 3^n}+\dfrac{2n(n-1)+2n(n-1)(n-2)+n(n-1))(n-2)(n-3)}{4\times 3^n}
=\dfrac{4+8n+8n(n-1)+4n(n-1)(n-2)+n(n-1)(n-2)(n-3)}{4\times 3^n}
=\dfrac{n^4-2n^3+7n^2+2n+4}{4\times 3^n}