[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1988年(昭和63年)東京大学-数学(文科)[1]

2023.08.29記

[1] 直線l上に10メートル離れた2定点\mbox{A}\mbox{B} があり,lに平行な直線m上を点\mbox{P}が秒速1メートルで一定の向きに動いている.\mbox{A}\mbox{P} 間の距離と \mbox{B}\mbox{P} 間の距離の和は,ある時刻に測ったとき 15 メートル,その 5 秒後に測ったときも 15 メートルであった.2直線 lm のあいだの距離は何メートルか.

2021.01.22記
{\rm A}(-5,0),{\rm B}(5,0) を焦点とし,焦点からの距離の和が15の楕円は
\dfrac{x^2}{(15/2)^2}+\dfrac{y^2}{(15/2)^2-5^2}=1
であり,x 座標が \dfrac{5}{2} のときの y 座標を求めると y=\pm\dfrac{5\sqrt{10}}{3}
となる訳だが,対称性が高いので,中学範囲の幾何で片付く.

[解答]
求める距離を h=2.5k とおくと,\sqrt{h^2+2.5^2}+\sqrt{h^2+7.5^2}=15だから,\sqrt{k^2+1}+\sqrt{k^2+9}=6となる.

A=\sqrt{k^2+1},B=\sqrt{k^2+9}とすると,A+B=6B^2-A^2=8だから,B-A=\dfrac{4}{3} となり,A=\dfrac{7}{3}となる.

よって k^2+1=\dfrac{49}{9} となり k=\dfrac{2\sqrt{10}}{3},つまり h=\dfrac{5\sqrt{10}}{3}