[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)大阪大学-数学(理系)[3]

2022.03.01記

[3] 正の実数 t に対し,座標平面上の2点 {\rm P}(0,t){\rm Q}\left(\dfrac{1}{t},0\right) を考える.t1\leqq t\leqq 2 の範囲を動くとき,座標平面内で線分\rm PQ が通過する部分を図示せよ.

2022.03.01記
包絡線の問題.直線 \rm PQxy=\dfrac{1}{4}\rm PQ の中点 \left(\dfrac{1}{2t},\dfrac{t}{2}\right) で接することは受験数学ではやはり有名.

[解答]

直線 \rm PQ の方程式は切片方程式から  tx+\dfrac{y}{t}=1 となるので,y=-t^2x+t となる.

(ここで,\left(a-\dfrac{1}{2}\right)^2=a^2-a+\dfrac{1}{4}を思い出すと)

\dfrac{1}{4x}-(-t^2x+t)=\dfrac{t^2}{x}\left(x-\dfrac{1}{2t}\right)^2 であるから,直線 \rm PQy=\dfrac{1}{4x}\left(\dfrac{1}{2t},\dfrac{t}{2}\right) で接する.

よって y=\dfrac{1}{4x} の接線を接点が x=\dfrac{1}{2} から x=\dfrac{1}{4} まで動かしたときの接線の通過範囲が求める領域となる.その領域のうち,x\geqq0,y\geqq0 をみたす範囲が求める範囲である.

(図示略)

通常は,x を固定して y=-t^2x+t1\leqq t\leqq 2 における値域を求めることになるが,そのために右辺を t の2次式として平方完成すると,x\neq 0 のとき,
-t^2x+t=-x\left(t-\dfrac{1}{2x}\right)^2+\dfrac{1}{4x}
となるが,これは
\dfrac{1}{4x}-(-t^2x+t)=\dfrac{t^2}{x}\left(x-\dfrac{1}{2t}\right)^2
と同じ式になっている.

2次関数の最大値が頂点でとることと,包絡線と接することが対応していることになる.これを場合分けして示しても良いが,最近は「最大、最小の候補は端点または極値」がトレンド。

[解答]

直線 \rm PQ の方程式は切片方程式から  tx+\dfrac{y}{t}=1 となるので,y=-t^2x+t となる.

ここで x を固定したときの y=-t^2x+t1\leqq t\leqq 2 における値域を求めれば良い.

(i) x=0 のとき,y=t だから 1\leqq y\leqq 2 である.

(ii) x\gt 0 のとき, y=-t^2x+t の右辺(f(t)とおく)を t についての2次式とみたときの頂点の t 座標が \dfrac{1}{2x} となるので,値域は
\min\{f(1),f(2)\} \leqq y\leqq \max\{ f(1),f(2),f\left(\dfrac{1}{2x}\right)\}
(但し,f\left(\dfrac{1}{2x}\right) となるのは 1\leqq\dfrac{1}{2x}\leqq 2 のときのみ)
となり,整理して
\min\{-x+1,-4x+2\} \leqq y\leqq \max\{-x+1,-4x+2,\dfrac{1}{4x}\}
(但し,\dfrac{1}{4x} が最大値となるのは \dfrac{1}{4}\leqq x\leqq \dfrac{1}{2} のときのみ)
となる.

以上の領域で y\geqq 0 となる範囲が求める範囲である.

(図示略)