[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)東京大学-数学(理科)[4]

2022.02.26記

[4] 座標平面上の曲線
C:y=x^3-x を考える。

(1) 座標平面上のすべての点 \rm P が次の条件(i)を満たすことを示せ。

(i) 点 \rm P を通る直線 \ell で, 曲線 C と相異なる3点で交わるものが存在する。

(2) 次の条件(ii)を満たす点 \rm P のとりうる範囲を座標平面上に図示せよ。

(ii) 点 \rm P を通る直線 \ell で, 曲線 C と相異なる3点で交わり, かつ, 直線 l と曲線 C で囲まれた2つの部分の面積が等しくなるものが存在する。


2022.02.26記

[解答]

(1) C の点 {\rm T}(t,t^3-t) における接線が点 {\rm P}(p,q) を通るための t の条件は
q=(3t^2-1)(p-t)+(t^3-t)
となるが,これは実数係数の3次方程式だから,必ず解をもつ.つまり,

座標平面上のすべての点 \rm P に対し,点 \rm P を通る C の接線が存在する

ことがわかる。このような接線が,変曲点を通る接線しかない場合について考えると,
q=(3t^2-1)(p-t)+(t^3-t)
の実数解が t=0 だけとなる場合であり,そのためには q=-p であることが必要であるが,このとき,
t^2(2t+3p)=0
となるので,p=q=0 が必要十分,つまり \rm PC の変曲点である原点のときに限る。

(a) \rm PC の変曲点である原点とは異なるとき,
\rm P を通る C の接線で接点の x 座標が 0 でないものが存在する。

このとき,この x 座標を t とおくと,この接線と C は接点以外の交点 (-2t,-8t^3+2t) ももつ。この接線の傾きを十分小さくずらすことにより接点が交点となるようにすると,
x=tの近辺に交点が2個、x=-2tの近辺に交点が1個と,
この直線と C は相異なる3点で交わる。

(b) \rm PC の変曲点である原点のとき,x 軸が題意をみたす。

以上から題意は示された。

(2) 3次関数の点対称性より,直線 l と曲線 C で囲まれた2つの部分の面積が等しくなるとき,\ellC の変曲点である原点を通る。よって原点を通る直線で C を相異なる3点で交わるような直線の通過領域を求めれば良い。

よって求める領域は

x(y+x)\gt 0 および原点

となる。

(図示略)

ちょっと論証が甘いかな。