[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1992年(平成4年)東京大学前期-数学(理科)[2]

2024.01.07記

[2] xy 平面において,x 座標,y 座標ともに整数であるような点を格子点と呼ぶ.格子点を頂点に持つ三角形 \mbox{ABC} を考える.

(1) 辺 \mbox{AB}\mbox{AC} それぞれの上に両端を除いて奇数個の格子点があるとすると,辺 \mbox{BC} 上にも両端を除いて奇数個の格子点があることを示せ.

(2) 辺 \mbox{AB}\mbox{AC} 上に両端を除いて丁度 3 点ずつ格子点が存在するとすると,三角形 \mbox{ABC} の面積は8 で割り切れる整数であることを示せ.

2020.09.26記

[解答]
格子点\rm X,Y について\vec{\rm XY}=(p,q) とするとき,線分\rm XY 上の両端を除く格子点の数は  {\rm GCD}(p,q)-1 個である…(★).

(1) (★)より,\vec{\rm AB}x 成分と y 成分の最大公約数が偶数, \vec{\rm AC}x 成分と y 成分の最大公約数が偶数である.よって \vec{\rm BC}=\vec{\rm AC}-\vec{\rm AB}x 成分と y 成分はともに偶数となるので,最大公約数も偶数となる.このことから
\mbox{BC} 上にも両端を除いて奇数個の格子点がある.

よって題意は示された.

(2) (★)より,\vec{\rm AB}=(a,b)^{\top} において ab の最大公約数が4だから ab はそれぞれ4の倍数である.同様に \vec{\rm AC}=(c,d)^{\top} において cd の最大公約数がが4だから cd もそれぞれ4の倍数である.

よって,三角形 \rm ABC の面積 \dfrac{1}{2}|ad-bc|=\dfrac{1}{2}|16の倍数-16の倍数|=8の倍数 となる.

(★)の証明は,  g={\rm GCD}(p,q)p=gp'q=gq' とすると
\left(x,\dfrac{q}{p}x\right)=\left(x,\dfrac{q'}{p'}x\right)0\lt x\lt p
なる格子点は \dfrac{q'}{p'} が既約分数であることから xp' の倍数であることが必要十分となる.よって x=p',2p',…,(g-1)p'g-1 個だけ格子点があることになる.