[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1993年(平成5年)東京大学前期-数学(理科)[1]

2024.01.07記

[1] すべての面が合同な四面体 \mbox{ABCD} がある.頂点 \mbox{A}\mbox{B}\mbox{C} はそれぞれ xyz 軸上の正の部分にあり,辺の長さは \mbox{AB}=2l-1\mbox{BC}=2l\mbox{CA}=2l+1l\gt 2)である.四面体 \mbox{ABCD} の体積を V(l) とするとき,次の極限値を求めよ.
 \displaystyle\lim_{l\to2}\dfrac{V(l)}{\sqrt{l-2}}


本問のテーマ
等面四面体

2024.01.08記
l の定義域が l\gt 2 のため l2 に近づける方法は右から近づけることに限られるので  \displaystyle\lim_{l\to2} で問題ないのだが,鉄緑会では  \displaystyle\lim_{l\to2+0} と親切に右側極限(右方極限)に修正してある.

[解答]
\mbox{A}(a,0,0)\mbox{B}(0,b,0)\mbox{C}(0,0,c)\mbox{E}(a,b,c)a,b,c\gt 0) とおくと
\mbox{AB}=\mbox{CE}=\sqrt{a^2+b^2}=2l-1
\mbox{BC}=\mbox{AE}=\sqrt{b^2+c^2}=2l
\mbox{CA}=\mbox{EB}=\sqrt{a^2+c^2}=2l+1
であるから,四面体をなす4つの面は全て 2l-1,2l,2l+1 を三辺の長さとする三角形で合同となり,題意をみたす四面体であるから \mbox{D}=\mbox{E} となる.

このとき a=\sqrt{2l^2+1}b=\sqrt{2l^2-4l}c=\sqrt{2l^2+4l} となり,l\gt 2 から確かに a,b,c は存在する.

このとき,四面体 \mbox{ABCD} の体積は立方体の体積の \dfrac{1}{3} であるから,
V(l)=\dfrac{\sqrt{2l^2+1}\cdot\sqrt{2l^2-4l}\cdot\sqrt{2l^2+4l}}{3}
=\dfrac{\sqrt{2l^2+1}\cdot2l\cdot \sqrt{l-2}\cdot\sqrt{l+2}}{3}
となり,よって
 \displaystyle\lim_{l\to2}\dfrac{V(l)}{\sqrt{l-2}} =\displaystyle\lim_{l\to2}\dfrac{\sqrt{2l^2+1}\cdot2l\cdot\sqrt{l+2}}{3} =\dfrac{3\cdot 4\cdot 2}{3}=8
となる.