[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1996年(平成8年)東京大学前期-数学(理科)[5]

2024.01.14記

[5] xyz 空間内の円柱 x^2+y^2=R^2R\gt 0 を側面とする容器に,水面が z=0 と一致するように z\leqq0 の部分に水がはいっている.z\geqq 0 に対して定義された連続な関数 r(z)
r(0)=00\leqq r(z)\lt R
をみたすものを考える.xz 平面内の不等式
0\leqq x \leqq r(z)z\geqq 0
で表される領域を z 軸のまわりに 1 回転してできる回転体を毎秒 1 の速さで下に動かすと,t 秒後には水面が z=f(t) に上昇するという.

t\geqq 0 に対し,f(t)=e^t-t-1 であるとき,関数 r(z) を決定せよ.

2020.07.27記

[解答]
dt時間経過したときの体積の増減を考えると、
 r^2(t)dt=\{R^2-r^2(t+f(t))\}\{1+f'(t)\}dt-\{R^2-r^2(t)\}dt
が成立し,整理してt+f(t)=f'(t)(=e^t-1)を利用すると
 r^2(f'(t))\{1+f'(t)\}=R^2f'(t)
となる.今f'(t)=e^t-1は単調増加でf'(0)=0であるから,0以上の任意の実数をとり得るのでr^2(z)=R^2\dfrac{z}{1+z}が任意の0以上の実数に対して成立する.

r(z)\geqq 0より r(z)=R\sqrt{\dfrac{z}{1+z}}となる.