[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1996年(平成8年)東京大学前期-数学(理科)[4]

2024.01.14記

[4] 1 つのサイコロを続けて投げて,それによって a_nn=12,…)を以下のように定める.

出た目の数を順に c_1c_2,… とするとき,1\leqq k\leqq n-1 を満たすすべての整数 k に対し c_k\leqq c_n ならば a_n=c_n それ以外のとき a_n=0 とおく.ただし,a_1=c_1 とする.

(1) a_n の期待値を E(n) とするとき,\displaystyle\lim_{n\to\infty} E(n)を求めよ.

(2) a_1a_2,…,a_n のうち 2 に等しいものの個数の期待値を N(n) とするとき,\displaystyle\lim_{n\to\infty} N(n) を求めよ.

本問のテーマ
成功回数の期待値

2021.01.20記

[解答]
(1) a_n=k となる確率は \dfrac{1}{6}\Bigl(\dfrac{k}{6}\Bigr)^{n-1} だから
E(n)=\displaystyle\sum_{k=1}^6 \Bigl(\dfrac{k}{6}\Bigr)^{n}=1+\displaystyle\sum_{k=1}^5 \Bigl(\dfrac{k}{6}\Bigr)^{n}\to 1n\to\infty

(2) a_n=2 となる確率は \dfrac{1}{6}\Bigl(\dfrac{1}{3}\Bigr)^{n-1} だから
a_n=2 となる回数の期待値は
N(n)=\displaystyle\sum_{i=1}^n\dfrac{1}{6}\Bigl(\dfrac{1}{3}\Bigr)^{i-1}\to\dfrac{1}{6}\cdot\dfrac{1}{1-\dfrac{1}{3}}=\dfrac{1}{4}n\to\infty