[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1997年(平成9年)東京大学後期-数学

2024.01.15記

[1] 右の図のように,1 辺の長さが 1 の正 3 角形で,平面を分割する.

これらの 1 辺の長さが1の正 3 角形1つ1つを,単位正 3 角形とよぶことにする.はじめに1個以上有限個の単位正 3 角形が塗りつぶされているとし,以下の操作を繰り返すことにより,次々に単位正 3 角形を塗りつぶしていく.

『1回の操作ごとに,既に塗りつぶされている単位正 3 角形と少なくとも1つの辺を共有する単位正 3 角形を,すべて塗りつぶす』

次の問いに答えよ.

(1) はじめに塗りつぶされている単位正 3 角形が 1 つだけのとき,n 回目の操作が終わったときに塗りつぶされている単位正 3 角形の個数a_nを求めよ.

(2) はじめに 2 個以上有限個の単位正 3 角形が塗りつぶされているとき,n 回目の操作が終わったときに塗りつぶされている単位正 3 角形の個数を b_n とおくと,極限 \displaystyle\lim_{n\to\infty}\dfrac{a_n}{b_n} は,はじめの塗りつぶされ方がどのようであっても存在するか.極限が存在する場合については,その極限値を求めよ.存在しない場合があるならば,その例をあげよ.

[2] 座標平面上の点 A(x,y) が次の連立不等式の表す領域を動くとする.
\left\{\begin{array}{l}|xy|\lt 1 \\y\gt 0 \end{array}\right.

関数 y=\dfrac{1}{|x|} のグラフのうち,x\lt 0 の部分を Hx\gt 0 の部分を K とする.
\mbox{A} に対し,x 軸上の 2\mbox{B}\mbox{C},曲線H上の点 \mbox{D},曲線 K 上の点 \mbox{E} を次の条件によって定める.

『直線 \mbox{AB} は,2\mbox{A}\mbox{B} の間の点 \mbox{D} で曲線 H に接し,直線 \mbox{AC} は,2\mbox{A}\mbox{C} の間の点 \mbox{E} で曲線 K に接する』

(1) 三角形 \mbox{ABC} の面積のとり得る範囲を求めよ.

(2) 三角形\mbox{ADE}の面積のとり得る範囲を求めよ.

[3] ボタンを1回押す毎に,1 以上 N 以下の整数を,同じ確率で1つずつ発生する機械がある.複数回ボタンを押した場合,どの整数が発生するかについての確率は,
どの回についても他の回とお互いに独立であるとする.この機械には,発生した整数の下 4 桁のみを表示する表示装置が接続されており,4 桁未満の数については,
欠けている桁に 0 を入れて4桁にして表示される.たとえば,発生した整数が 925 のときは 0925 が,12320 のときは 2320 が表示される.

2 回ボタンを押したとき,同じ数字が表示される確率を p_N とする.

(1) p_{10000} を求めよ.

(2) p_{10000}p_{10001} は,どちらが大きいかを判断し,その差を有効数字1桁で求めよ.

(3) 確率 p_{10000}p_{10001},…,p_{20000} のうち,最小の値を q,最大の値を r とおく.qr を求めよ.

(4)N を10000以上の整数とするとき,q\leqq p_N\leqq r を示せ.

https://spherical-harmonics.hateblo.jp/entry/Todai/1997/Kouki_1
https://spherical-harmonics.hateblo.jp/entry/Todai/1997/Kouki_2
https://spherical-harmonics.hateblo.jp/entry/Todai/1997/Kouki_3