[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2000年(平成12年)東京大学前期-数学(理科)[2]

2019.04.03記

[2] 複素数平面上の原点以外の相異なる 2\mbox{P}(\alpha)\mbox{Q}(\beta)を考える.\mbox{P}(\alpha)\mbox{Q}(\beta)を通る直線を l,原点から l に引いた垂線と l の交点を \mbox{R}(w) とする.ただし,複素数 \gamma が表す点 \mbox{C}\mbox{C}(\gamma) とかく.このとき,

w=\alpha\beta であるための必要十分条件は,\mbox{P}(\alpha)\mbox{Q}(\beta) が中心 \mbox{A}\left(\dfrac{1}{2}\right),半径 \dfrac{1}{2} の円周上にあることである.」
を示せ.

2019.04.03記
\alpha を通り複素数 w(\neq 0) に垂直な直線の方程式 \mbox{Re}\left(\dfrac{z-\alpha}{w}\right)=0 となることを利用する。

[解答]
l {\rm R}(w) を通り, \rm OR に垂直な直線であるから,その方程式は \mbox{Re}\left(\dfrac{z-w}{w}\right)=0 つまり \mbox{Re}\left(\dfrac{z}{w}\right)=1 である.よって \rm A,Bl 上にある必要十分条件\mbox{Re}\left(\dfrac{\alpha}{w}\right)= \mbox{Re}\left(\dfrac{\beta}{w}\right)=1 である.よって
 w=\alpha\beta\rightleftarrows\mbox{Re}\left(\dfrac{1}{\beta}\right)= \mbox{Re}\left(\dfrac{1}{\alpha}\right)=1\rightleftarrows\mbox{Re}(\bar{\alpha})=|\,\alpha\,|^2,\mbox{Re}(\bar{\beta})=|\,\beta\,|^2\rightleftarrows \left|\,\alpha-\dfrac{1}{2}\,\right|^2=\Bigl(\dfrac{1}{2}\Bigr)^2,\left|\,\beta-\dfrac{1}{2}\,\right|^2=\Bigl(\dfrac{1}{2}\Bigr)^2
となる.

ここで、最後の変形は|\, z-p\,|^2=|\,z\,|^2-(\bar{p}z+p\bar{z})+|\,p\,|^2=|\,z\,|^2-\mbox{Re}(2\bar{p}z)+|\,p\,|^2z=\alpha(または\beta)、p=\dfrac{1}{2}とおいた。

1958年の複素数の問題
1958年(昭和33年)東京大学数学(解析I)[3] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
も参照しておくと良い。