[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2001年(平成13年)東京大学後期-数学

2024.02.12記

[1] 任意の自然数 n\geqq 2 に対して,常に不等式
n-\displaystyle\sum_{k=2}^{n} \dfrac{k}{\sqrt{k^2-1}}\geqq \dfrac{i}{10}
が成立するような最大の整数 i を求めよ.

[2] (1) 図1のように,等間隔 h で格子状に互いに直交する 2組の無数の平行線が引いてある平面が与えられている.その上に半径 1 の円 C を無作為に落とすとき,この円がちょうど 2 本の線と交わる確率 p を求めよ.

(2) 図2のように,半径 \sqrt{2}+1 の円が重複なく,かつ隣り合う円と接して無数に敷き詰められた平面がある.この上に半径 1 の円 C を無作為に落とすとき,その円 C が平面上のちょうど 3 つの円と交わる確率 q を求めよ.

ただし,解答にあたり次のことを用いてよい.

平面上に共に原点 \mbox{O} を始点とする一次独立な2つのベクトル \mathbf{a}\mathbf{b} を考え,点 \mbox{O}\mathbf{a}\mathbf{b}\mathbf{a+b} の3つのベクトルの終点の 4 点を頂点とする平行四辺形を E とする.E の領域 F に対して,F\mathbf{a}\mathbf{b} の整数係数の一次結合 m\mathbf{a}+n\mathbf{b} によって平行移動したもの全体の和集合を D とする.即ち記号で書くと

D=\{ \mathbf{x}+m\mathbf{a}+n\mathbf{b}\,|\,\mathbf{x}\in F,m\in\mathbf{Z},n\in\mathbf{Z} \}

とおく.ここで\mathbf{Z}は整数全体を表す.
このとき平面に 1\mbox{P} を無作為に落とすとき,その点が D 内に落ちる確率は,F の面積の平行四辺形 E の面積に対する比になっている.

(図)

[3] 整数を係数とする2次方程式 f(x) で2次の項の係数が正であるものが与えられている.任意の実数 x に対して,平面上の原点を中心とし半径が 1 である単位円 C 上の点 \mbox{P}(x)
\mbox{P}(x)=(\cos 2\pi f(x),\sin 2\pi f(x))
によって定める.円周 C の弧 I の長さが L0\lt L\lt 2\pi)であるものを固定する.そのとき各自然数 k に対して区間 [k\mbox{,}\,k+1] の部分集合
\{ x\,|\,k \leqq x \leqq k+1,P(x) \in I \}
は互いに交わらない有限個の区間の和集合になっているので,それらの区間の長さの総和を T_k で表す.このとき,\displaystyle\lim_{k\to\infty} T_k=\dfrac{L}{2\pi}を証明せよ.

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