[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2003年(平成15年)東京大学前期-数学(文科)[3]

2024.02.18記

[3] 2次方程式 x^2-4x+1=02 つの実数解のうち大きいものを \alpha,小さいものを\betaとする.n=123,… に対し,s_n=\alpha^n+\beta^n とおく.

(1) s_1s_2s_3 を求めよ.また,n\geqq 3 に対し,s_ns_{n-1}s_{n-2} で表せ.

(2) s_n は正の整数であることを示し,s_{2003} の1の位の数を求めよ.

(3) \alpha^{2003} 以下の最大の整数の 1 の位の数を求めよ.

2021.01.19記
s_0=2 を考えると手間が少し省ける.

[解答]
(1) s_0=\alpha^0+\beta^0=1+1=2 とおくと,
\alpha^{n+2}-4\alpha^{n+1}+\alpha^n=0\beta^{n+2}-4\beta^{n+1}+\beta^n=0 により
s_{n+2}=4s_{n+1}-s_n が成立する.
s_0=\alpha^0+\beta^0=1+1=2s_1=\alpha+\beta=4 だから
s_2=4\times4-2=14,s_3=4\times14-4=52

(2) s_0,s_1 が整数で,漸化式 s_{n+2}=4s_{n+1}-s_n をみたすので,帰納的に任意の0以上の整数について s_n は整数となる.

\mod 10s_0\equiv 2s_1\equiv 4s_2\equiv 4s_3\equiv 2s_4\equiv 4,となるが,3項間漸化式なので、連続する2つが同じであれば,以下繰り返し,今は周期3だから s_{2003}\equiv s_2\equiv 4

(3) s_{2003}=\alpha^{2003}+\beta^{2003}=10K+4Kはある整数)
となるが,\beta=2-\sqrt{3} により 0\lt \beta\lt 1 だから,0\lt\beta^{2003}\lt 1 となり,
10K+3\lt \alpha^{2003}=10K+4-\beta^{2003}\lt 10K+4
が成立するので,\alpha^{2003} 以下の最大の整数は 10K+3の形となり,その1の位は3.

類題
2003年(平成15年)東京大学前期-数学(理科)[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR