[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1998年(平成10年)東京大学前期-数学(文科)[2]

2024.02.07記

[2] abは実数で,b\neq 0とする.xy 平面に原点 \mbox{O}(0,0) および 2\mbox{P}(1,0)\mbox{Q}(a,b) をとる.

(1) \triangle\mbox{OPQ} が鋭角三角形となるための ab の条件を不等式で表し,点 (a,b) の範囲を ab 平面上に図示せよ.

(2) mn を整数とする.ab が(1)で求めた条件を満たすとき,不等式
(m+na)^2-(m+na)+n^2b^2\geqq 0
が成り立つことを示せ.

2020.09.26記

[解答]
(1) 3つの角度が鋭角になる条件を幾何的に図示すると,{\rm OP} を直径とする円の外のうち,{\rm O} を通り {\rm OP} に垂直な直線と {\rm P} を通り {\rm OP} に垂直な直線で挟まれた部分.式で書くと
0\lt a\lt 1 かつ a(a-1)+b^2>0\Bigl(a-\dfrac{1}{2}\Bigr)^2+b^2\gt 1
となる.

(2) (i) n=0 のとき,m(m-1) は任意の整数 m に対して非負だから題意は成立.

(i) n\neq 0 のとき,(m+na)^2-(m+na)+n^2b^2\geqq 0\Bigl(a+\dfrac{m}{n}\Bigr)\Bigl(a+\dfrac{m-1}{n}\Bigr)+b^2\geqq 0 と変形でき,これは \Bigl(-\dfrac{m}{n},0\Bigr)\Bigl(-\dfrac{m}{n}+\dfrac{1}{n},0\Bigr) を直径とする円の周または外部を表す。

\Bigl(a+\dfrac{m}{n}\Bigr)\Bigl(a+\dfrac{m-1}{n}\Bigr)+b^2=0a= 0 の左側、または円 a(a-1)+b^2=0 の内部、またはa=1 の右側にあることから,題意は成立する.