[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1940年(昭和15年)東京帝國大學農學部-數學[2]

2022.07.20記

[2] \Bigl(\dfrac{x}{a}\Bigr)^m+\Bigl(\dfrac{y}{b}\Bigr)^m=2 ナル曲線ハmノ如何ニヨラズ點(a,b)ニテ互ニ切スルコトヲ證明セヨ.

2022.07.24記
現在の入試なら m\gt 0 という条件を入れるのが普通.

[うまい解答]
x軸方向に\dfrac{1}{a}倍,y軸方向に\dfrac{1}{b}倍拡大しても接線は接線にうつる.

この変換,つまり X=\dfrac{x}{a}Y=\dfrac{y}{b} によって与えられら曲線は
X^m+Y^m=2にうつる.この曲線は m の値によらず (1,1) を通り Y=X について対称である点(1,1)微分可能な曲線であるから,m の値によらず X+Y=2 に接し,つまりX^m+Y^m=2m の値によらず 互いに接する.

よって
\Bigl(\dfrac{x}{a}\Bigr)^m+\Bigl(\dfrac{y}{b}\Bigr)^m=2 なる曲線はmの値によらず(a,b)にて互いに接する.

[解答]
\Bigl(\dfrac{x}{a}\Bigr)^m+\Bigl(\dfrac{y}{b}\Bigr)^m=2 より
\dfrac{m}{a}\Bigl(\dfrac{x}{a}\Bigr)^{m-1}+\dfrac{m}{b}\Bigl(\dfrac{y}{b}\Bigr)^{m-1}\dfrac{dy}{dx}=0
が成立するので,曲線上の点 (a,b) における接線の傾きは m によらず
\dfrac{dy}{dx}=-\dfrac{b}{a}
と等しい.よって \Bigl(\dfrac{x}{a}\Bigr)^m+\Bigl(\dfrac{y}{b}\Bigr)^m=2 なる曲線はmの値によらず(a,b)にて共通の接線をもつので互いに接する.