[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2024年(令和6年)東京大学-数学(文科)[1]

2024.02.28記

[1] 座標平面上で,放物線 C:y=ax^2+bx+c が2点 \mbox{P}(\cos\theta,\sin\theta)\mbox{Q}(-\cos\theta,\sin\theta) を通り,点 \mbox{P} と点 \mbox{Q} のそれぞれにおいて x^2+y^2=1 と共通の接線を持っている.
ただし,0^{\circ}\lt \theta\lt 90^{\circ} とする.

(1) a,b,cs=\sin\theta を用いて表せ.

(2) 放物線 Cx 軸で囲まれた図形の面積 As を用いて表せ.

(3) A\geqq\sqrt{3}を示せ.

2024.02.28記

[解答]
ax^2+bx+c=f(x) とおくと
f(x)=a(x^2-\cos^2\theta)+\sin\theta
とおくことができ,
f'(\cos\theta)=2a\cos\theta=-\dfrac{1}{\tan\theta}
から
f(x)=-\dfrac{1}{2\sin\theta}(x^2-\cos^2\theta)+\sin\theta
=-\dfrac{1}{2s}x^2+\dfrac{1-s^2}{2s}+s
=-\dfrac{1}{2s}x^2+\dfrac{1}{2}\left(s+\dfrac{1}{s}\right)
となるので a=-\dfrac{1}{2s}b=0c=\dfrac{1}{2}\left(s+\dfrac{1}{s}\right) となる.

(2) x 切片は \pm\sqrt{s^2+1} により
A=\dfrac{2}{3s}(s^2+1)^{\frac{3}{2}}

(3) A\gt 0 より A^2\geqq 3 を示す.
A^2=\dfrac{4}{9s^2}(s^2+1)^3…①
だから A^2\geqq 3 を示すには
4s^6+12s^4-15s^2+4\geqq 0
を示せば良い.ここで①で s^2=\dfrac{1}{2} で等号が成立することから
4s^6+12s^4-15s^2+4=(2s^2-1)^2(s^2+4)
因数分解に気付き,よって
4s^6+12s^4-15s^2+4\geqq 0
が成立する.

微分して 4t^3+12t^2-15t+40\lt t\lt 1 の最小値が非負であることを示すのが普通.