[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1997年(平成9年)東京大学前期-数学(理科)[6]

2024.01.15記

[6] a を実数とする.

(1) 曲線 y=\dfrac{8}{27}x^3 と放物線 y=(x+a)^2 の両方に接する直線が x 軸以外に 2 本あるような a の範囲を求めよ.

(2) a が(1)の範囲にあるとき,この 2 本の接線と放物線 y=(x+a)^2 で囲まれた部分の面積 Sa を用いて表せ.

2020.01.11記

[解答]
y=\dfrac{8}{27}x^3x=t における接線の方程式は
y=\dfrac{8}{9}t^2x-\dfrac{16}{27}t^3
であり,これが y=(x+a)^2 に接することと x の方程式
(x+a)^2=\dfrac{8}{9}t^2x-\dfrac{16}{27}t^3
つまり
 x^2+\dfrac{18a-8t^2}{9}x+\dfrac{27a^2+16t^2}{27}=0
が重解をもつことは同値である.このとき,判別式を0とおいて t^2(2t^2-6t-9a)=0 となる.t\neq 0 より
2t^2-6t-9a=0
となる.これがt\neq 0 なる相異2実解をもてば良いので,
a\neq 0,a\gt -\dfrac{1}{2}

(2)  x^2+\dfrac{18a-8t^2}{9}x+\dfrac{27a^2+16t^2}{27}=0 が重解をもつとき,その重解は x=\dfrac{4t^2-9a}{9} であるから,
2t^2-6t-9a=0 の2実解を\alpha,\betaとおくと x=0 以外の2接線と
y=(x+a)^2
との接点の x 座標は x=\dfrac{4\alpha^2-9a}{9}\dfrac{4\beta^2-9a}{9} となる.

ここで,
\alpha+\beta=3,\alpha\beta=-\dfrac{9}{2}aにより
|\beta-\alpha|=3\sqrt{2a+1}
であるから,求める面積を S とすると
S=\dfrac{1}{12}\left|\dfrac{4}{9}(\beta^2-\alpha^2)\right|^3=\dfrac{1}{12}\left|4\sqrt{2a+1}\right|^3=\dfrac{16(2a+1)\sqrt{2a+1}}{3}
となる.