[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1989年(平成元年)京都大学理系数学[3]

f(x)x の 3 次式で, f(x) をその導関数 f'(x) で割ったときの余りは定数である.このとき方程式 f(x)=0 を満たす実数 x はただ 1 つであることを示せ.

2019.04.03記

解説:
f(x) をその導関数 f'(x) で割ったときの余りをR(x)とおくと、y=R(x)y=f(x)の、f'(x)=0となる点を全て通る。だからもし3次関数が極大、極小をもつと仮定すると余りは定数にならなくなり矛盾する。よって、3次関数は単調増加となり、よって方程式 f(x)=0 を満たす実数 x はただ 1 つである。

別解:
f(x) をその導関数 f'(x) で割ったときの余りである定数をCとし、g(x)=f(x)-Cとおくと、g(x)g'(x)で割り切れるのでg(x)=\dfrac{1}{3}(x-k)g'(x)とおくことができる。
この両辺を微分するとg'(x)=\dfrac{1}{3}g'(x)+\dfrac{1}{3}(x-k)g''(x)となるので、g'(x)=\dfrac{1}{2}(x-k)g''(x)となる。
さらに両辺を微分するとg''(x)=(x-k)g'''(x)が得られるが、g'''(x)は3次式の3階微分なので定数となる。これをD(\neq 0)とおくとg(x)=\dfrac{D}{6}(x-k)^3となる。
よってf(x)=\dfrac{D}{6}(x-k)^3+Cとなり,f(x)=0の実数解はx=k+\sqrt[3]{-\dfrac{6C}{D}}ただ1つである。

 n多項式f(x)f'(x)で割り切れるとき、f(x)=A(x-k)^nの形をしていることが同様に導かれる。

別解:
f(x) をその導関数 f'(x) で割ったときの商を\dfrac{1}{3}(x-k)とする。
このkを用いてf(x)=a(x-k)^3+b(x-k)^2+c(x-k)+dとおくと
f'(x)=3a(x-k)^2+2b(x-k)+cであるからf(x)=\dfrac{1}{3}(x-k)f'(x)+\dfrac{1}{3}b(x-k)^2+\dfrac{2}{3}c(x-k)+dが成立する。
余りが定数であるからb=c=0であり、よってf(x)=a(x-k)^3+dである。
よってf(x)=0の実数解はx=k+\sqrt[3]{-\dfrac{d}{a}}ただ1つである。

参考:
1976年(昭和51年)東京大学数学(理科)[6]旧課程 - [別館]球面倶楽部零八式markIISR