[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1976年(昭和51年)東京大学-数学(理科)[6]旧課程

[6](旧課程)abcd を実数として f(x)=x^4+ax^3+bx^2+cx+d とおく.

(i) 方程式 f(x)=0 が4個の相異なる実根をもつとき,実数 k に対して,方程式 f(x)+kf'(x)=0 の実根の個数を求めよ.

(ii) 2 つの方程式 f(x)=0f''(x)=02 個の相異なる実根を共有するとき,曲線 y=f(x)y 軸に平行なある直線に関して対称であることを示せ.

2019.04.03記

[解答]
(i) f'(x)=0の解を小さい順番にp,q,rとおくとf(p)\lt 0,f(q)\gt 0,f(r)\lt 0である.
g(x)=f(x)+kf'(x)とおくと,これは4次式でg(p)\lt 0,g(q)\gt 0,g(r)\lt 0であるから,g(x)=0の実根の個数は4つ.

(ii) \alpha=-\dfrac{a}{4}とおき,f(x)=(x-\alpha)^4+s(x-\alpha)^2+t(x-\alpha)+uとおく.
f(x)f''(x)=12(x-\alpha)^2+2sで割り切れるので,
f(x)=\dfrac{1}{12}f''(x)\left\{(x-\alpha)^2+\dfrac{5s}{72}\right\}+t(x-\alpha)+u-\dfrac{5}{36}s^2からt=0,u=\dfrac{5}{36}s^2となる.
よって,f(x)=(x-\alpha)^4+s(x-\alpha)^2+\dfrac{5}{36}s^2となり,x=\alphaに関して対称となる.

2020.02.27追記

多項式f(x)について、f(x)f''(x)で割った余りをr(x)とすると、y=r(x)y=f(x)の全ての変曲点を通る。
今、f(x)f''(x)で割り切れるので、y=f(x)の全ての変曲点はx軸上にあることがわかる。
本問(ii)の場合、4次関数に2つ変曲点があり、そのy座標が等しいならば、その4次関数は線対称となるということを示している。

2023.08.16追記
[解答] で x-\alpha =X とおくと
X^4+sX^2+tX+u12X^2+2s で割り切れる条件を考えることになるが,X の奇数乗の項が tX しかないので,これを割り算で変化させることはできないから t=0 はほぼ自明であり,よって
偶関数X^4+sX^2+uY 軸対称であることがわかる.