[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2019年(平成31年)東京大学-数学(理科)[5]

2019.02.26記

[5] 以下の問いに答えよ.

(1) n を1以上の整数とする.x についての方程式  x^{2n-1}=\cos x は,ただ一つの実数解 a_n をもつことを示せ.

(2) (1)で定まる a_n に対し,\cos a_n\gt\cos 1 を示せ.

(3) (1)で定まる数列 a_1, \, a_2, \, a_3, \, \cdots\cdots, \, a_n, \, \cdots\cdots に対し,
\displaystyle a=\lim_{n\to\infty}a_n,b=\lim_{n\to\infty}{a_n}^n,c=\lim_{n\to\infty}\frac{{a_n}^n-b}{a_n-a}
を求めよ.

2019.02.26記

[解答]
(1) x\lt -1 では x^{2n-1}\lt -1\leq \cos x
-1\leq x\lt 0 では x^{2n-1}\lt 0\leq \cos x
 1\lt x では  \cos x \leq 1 \lt x^{2n-1}
である.

 0\leq x\lt 1 のとき x^{2n-1} は単調増加,\cos x は単調減少で x=0,1において大小関係が逆転していることからただ一つの実数解をもつ.

(2) 0\leq a_n \lt 1 により、1\geq \cos a_n \gt \cos 1 である.

(3) 1\geq a_n^{2n-1}=\cos a_n \gt  \cos 1 から 1=\cos 0 \geq a_n \gt (\cos 1)^{1/(2n-1)} から,はさみうちの原理により a_n\to 1 となる.また
a_n^n=\sqrt{a_n\cos a_n}\to \sqrt{\cos 1}
となる.

これらから
\dfrac{a_n^n-b}{a_n-a}=\dfrac{\sqrt{a_n\cos a_n}-\sqrt{\cos 1}}{a_n-1}
微分係数の定義により f(x)=\sqrt{x\cos x} とおいたときの f'(1) に収束するので,計算すると
\dfrac{\cos 1-\sin 1}{2\sqrt{\cos 1}}
となる.