[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2019年(平成31年)東北大学理系数学[4]

実数を係数にもつ整式A(x)x^2+1で割った余りとして得られる整式を[A(x)]と表す。

(1)[2x^2+x+3],[x^5-1]をそれぞれ求めよ。

(2) 整式A(x),B(x)に対して、次の等式が成り立つことを示せ。
[A(x)B(x)]=[[A(x)][B(x)]]

(3) 実数\thetaに対して、次の等式が成り立つことを示せ。
[(x\sin\theta+\cos\theta)^2]=x\sin2\theta+\cos2\theta

(4) 次の等式を満たす実数a,bの組(a,b)をすべて求めよ。
[(ax+b)^4]=-1

剰余環 R[x]/(x^2+1) 複素数体に自然同型であるという話。x^2-1にどんどん置き換えようということ。

(1) 順にx+1,x-1,-2

(2) A(x),B(x)x^2+1で割った商をそれぞれf(x),g(x)とし、余りをそれぞれr(x),s(x)とすると、A(x)=(x^2+1)f(x)+r(x),B(x)=(x^2+1)g(x)+s(x)であり、
A(x)B(x)=(x^2+1)\{(x^2+1)f(x)g(x)+f(x)s(x)+g(x)r(x)\}+r(x)s(x)
であるから、A(x)B(x)x^2+1で割った余りはr(x)s(x)=[A(x)][B(x)] x^2+1で割った余りに等しい。

(3)ド・モアブルの定理。[(x\sin\theta+\cos\theta)^2]=[x^2\sin^2\theta+2x\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta]
 =[(x^2+1-1)\sin^2\theta+2x\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta]
 =2x\sin\theta\cos\theta+\cos^2\theta-\sin^2\theta=x\sin2\theta+\cos2\theta

(4)はx^4=-1の解\dfrac{\pm 1\pm i}{\sqrt{2}}から(a,b)=\left(\pm\dfrac{1}{\sqrt{2}},\pm\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)(複号任意)となる。

a=r\cos\theta,b=r\sin\thetaをみたすr\geq 0,0\leq\theta\lt 2\piが存在し、このとき(3)から
[(ax+b)^4]=r^4(x\sin4\theta+\cos4\theta)=-1であるから、r=1,\sin4\theta=0,\cos4\theta=-1が成立し、\theta=\dfrac{\pi}{4}+\dfrac{k\pi}{2}kは整数)となる。
a=r\cos\theta,b=r\sin\thetaからa,bを求めると(a,b)=\left(\pm\dfrac{1}{\sqrt{2}},\pm\dfrac{1}{\sqrt{2}}\right)(複号任意)となる。