行列を とする.次の条件(*)が成り立つための実数 についての必要十分条件を求めよ.
(*)どんな2次正方行列に対しても,2次正方行列で となるものがある.
本問のテーマ
シルベスター(Sylvester)方程式
2019.01.16記
解説:制御理論で登場するシルベスタ方程式。
[大人の解答]
行列のクロネッカ積と vec 作用素を用いて(は2次単位行列)は
と変形でき、さらにこれはクロネッカ和を用いて
と変形できる。この方程式が任意の に対して解をもつためには,この4次元から4次元への線形変換が全射であることが必要十分であり,
その必要十分条件は
である。ここでの固有値は、の固有値(の固有値)との固有値の和であるから、
である.
行列のクロネッカ積と vec 作用素を用いて(は2次単位行列)は
と変形でき、さらにこれはクロネッカ和を用いて
と変形できる。この方程式が任意の に対して解をもつためには,この4次元から4次元への線形変換が全射であることが必要十分であり,
その必要十分条件は
である。ここでの固有値は、の固有値(の固有値)との固有値の和であるから、
である.
以上から,求める必要十分条件は となる。
なお、4次正方行列に対して
であるための必要十分条件はである。これは
とが相似であることを示している。これをロスの除去法則(Roth's removal rule)という。
The Equations AX - YB = C and AX - XB = C in Matrices
https://www.jstor.org/stable/2031890?seq=1#page_scan_tab_contents
A novel proof of Roth's removal rule
https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.1080/0020739930240409
こんなことを知っていたからって何なのよ。
2022.11.28追記
の p.168 には、シルベスタ方程式 が唯一解 をもつための必要十分条件は任意の の固有値と任意の の固有値の和が非零となることという定理が 「定理10.8(Hahn)」とあるが、Hahn による文献がどれかわからなかった。
普通に解いておくと,