2021.01.08記
ローレンツ曲線(と同じ).
人のうち上位 人の平均点は、全体の平均点以上になる.つまり、
が成立する.これから が成立する,というだけの話であるが,同じように考えると、
人のうち下位 人の平均点は、全体の平均点以下になる.
これは、 (逆順に並べかえ)とおくと、本問が
と書き換えられることからもわかるだろう.この、()を描画したとき, とこの点列を結ぶ折れ線のことをローレンツ曲線と呼ぶ.
ローレンツ曲線はの下側にある下に凸な折れ線となることが知られており、本文は、(値が正であることは自明だから、)この点列が の下側にあることを示す問題となっている.
https://www.stat.go.jp/koukou/howto/process/graph/graph12.html
(2021.10.07 総務省統計局のこのページはなくなったので、同じく総務省統計局のページに差し替えました)
www.stat.go.jp
ローレンツ曲線を所得にあてはめると、全員の所得が等しいとき、ローレンツ曲線はと一致し、所得の分布が極端であるほど、 よりも下にくる.
ローレンツ曲線と で囲まれた部分の面積の、の下側の面積(でできる三角形の面積)に占める割合をジニ係数と呼ぶ.
ジニ係数が0に近いほど公平で、1に近いほど不公平であるというような、不公平さを表す指標の1つとなっている.
なお、ジニ係数が0となるのは、全部が同じ値で、ジニ係数が最大になるのは、1つを除いて全てが0となる場合(ジニ係数が )である.
最後は、式で示したが、点列は と を結ぶ直線 の上側(直線含む)にあるので
としても良い.
まぁ、受験数学的には次のようにやる.
より を示せば良い.
ここで とおくと,示すべき式は となるので, が単調減少であることを示せば良い.
であるから題意は証明された.
もっと直接的に,添字を増やすと値が小さくなることを利用して、
であり,
から
である.
としても良いだろう. から の 個を 組用意して、そのうちの 組を添字を増やして から の 個を 組作ってやると値が小さくなって、 から の 個が 組できる、ということである.
個の実数が 組与えられている.そこから小さいもの順に 個取り,その和を とする.このとき,
を証明せよ. (90 法政大)
2021.10.07記
総務省統計局の web page がリニューアルしたようなので、リンク切れを修正しました.
新しいリンク
www.stat.go.jp
にある図、ジニ係数が0に近いローレンツ曲線
は間違っています.ローレンツ曲線は,つまり均等配分線より下に位置しなければならないので、ローレンツ曲線がこのような図になることはありません.おそらくデータが、うまく並び替えられていないようです.ローレンツ曲線がこのようになっておかしいと思わないのは、ちょっと困りますね.