[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2018年(平成30年)浜松医科大学-数学[4]

2022.12.11記

[4] 定数 a,b,cを用いて,数列\{S_n\}
S_n=a^n+b^n+c^nn=1,2,3,\cdots
により定める.

(1) 恒等式
(x-a)(x-b)(x-c)=x^3-(a+b+c)x^2+(ab+bc+ca)x-abc
を用いて S_{n+3}S_{n+2}S_{n+1}S_{n} が満たす漸化式を求めよ.

(2) a+b+c=0abc\neq 0 のとき,
\dfrac{S_2S_3}{S_5}\dfrac{(S_2)^2S_3}{S_7}\dfrac{S_2S_5}{S_7}
のそれぞれの値を求めよ.

(3) (2)で求めた3つの値に共通してあてはまる規則を1つ挙げよ.

2022.12.11記
Todo:調べておこう[解決] - 球面倶楽部 零八式 mark II
調べたけど砂漠でプレートを探すようなものだ(解決済) - 球面倶楽部 零八式 mark II
から
\dfrac{S_2S_3}{S_5}=\dfrac{2\times 3}{5}=\dfrac{6}{5}\dfrac{(S_2)^2S_3}{S_7}=\dfrac{2^2\times 3}{7}=\dfrac{12}{7}\dfrac{S_2S_5}{S_7}=\dfrac{2\times 5}{7}=\dfrac{10}{7}
となり,この求め方自体が規則となる.そしてこの規則をもつものは,これだけであることもわかる.

[解答]
(1) の恒等式x^n 倍すると
x^n(x-a)(x-b)(x-c)=x^{n+3}-(a+b+c)x^{n+2}+(ab+bc+ca)x^{n+1}-abcx^n
となり,この恒等式x=a,b,cを代入して和をとることにより
0=S_{n+3}-(a+b+c)S_{n+2}+(ab+bc+ca)S_{n+1}-abcS_n
が成立する.よって
S_{n+3}=(a+b+c)S_{n+2}-(ab+bc+ca)S_{n+1}+abcS_n
となる.

(2) ab+bc+ca=pabc=q とおくと
S_0=3S_1=0S_2=(a+b+c)^2-2(ab+bc+ca)=-2p
であり,(1)から漸化式
S_{n+3}=-pS^{n+1}+qS^n
をみたすので,逐次的に
S_3=3qS_4=2p^2S_5=-5pqS_6=-2p^3+3q^2S_7=7p^2q
と求めることができる.よって
\dfrac{S_2S_3}{S_5}=\dfrac{-2p\times 3q}{-5pq}=\dfrac{6}{5}\dfrac{(S_2)^2S_3}{S_7}=\dfrac{2^2p^2\times 3q}{7p^2q}=\dfrac{12}{7}\dfrac{S_2S_5}{S_7}=\dfrac{-2p\times (-5pq)}{7p^2q}=\dfrac{10}{7}
となる.

(3) \dfrac{S_2S_3}{S_5}=\dfrac{2\times 3}{5}\dfrac{(S_2)^2S_3}{S_7}=\dfrac{2^2\times 3}{7}\dfrac{S_2S_5}{S_7}=\dfrac{2\times 5}{7} のように,S_nn に置き換えた値となっている.