[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2018年(平成30年)静岡大学前期(教育,理(生命科,地球科学科),農学部,地域創造学環)[1]

2022.12.11記

[1] 実数x,y,zが次の3つの等式
x+y+z=0x^3+y^3+z^3=3x^5+y^5+z^5=15
を満たしている.x^2+y^2+z^2=aとおくとき,次の問いに答えよ.

(1) xy+yz+zxa を用いて表せ.

(2) xyz の値を求めよ.

(3) a の値を求めよ.

2022.12.11記
S_n=x^n+y^n+z^n

2018年(平成30年)浜松医科大学-数学[4] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
のように漸化式で求めるのが楽であり覚えておきたいが,根性でもできる.

Todo:調べておこう[解決] - 球面倶楽部 零八式 mark II
にあるように x+y+z=0 のときには
\dfrac{S_2}{2}\times\dfrac{S_3}{3}=\dfrac{S_5}{5}
が成立するので, a=2\times\dfrac{3}{3}\times\dfrac{15}{5}=6 となることがわかる.

x+y+z=0 のとき,
\dfrac{S_l}{l}\times\dfrac{S_m}{m}=\dfrac{S_n}{n}l\leqq m
恒等式となるような自然数の組が(2,3,5),(2,5,7) しかないことの証明は
調べたけど砂漠でプレートを探すようなものだ(解決済) - 球面倶楽部 零八式 mark II
にある.

[解答]
xy+yz+zx=pxyz=q とおく.

(1) a=x^2+y^2+z^2=0^2-2p=-2p により xy+yz+zx=p=-\dfrac{a}{2}

(2) 3=x^3+y^3+z^3=0\cdot (a-p)+3q=3q により xyz=q=1

(3) 15=x^5+y^5+z^5
=(x^2+y^2+z^2)(x^3+y^3+z^3)-x^2y^2(x+y)-y^2z^2(y+z)-z^2x^2(z+x)
=3a+x^2y^2z+y^2z^2x+z^2x^2y(∵x+y+z=0
=3a+xy+yz+zx(∵xyz=1
=\dfrac{5a}{2}
により,a=6 である.

[別解]
(3) 対称式 x^5+y^5+z^5 は基本対称式を用いて
x^5+y^5+z^5
=A(x+y+z)^5+B(x+y+z)^3(xy+yz+zx)+C(x+y+z)^2(xyz)+D(x+y+z)(xy+yz+zx)^2+E(xy+yz+zx)(xyz)
のように表すことができるので,この式が恒等式となるように A,B,C,D,E を定めれば良いが,x+y+z=0 より E の値さえ求めれば良い.

ここで x=y=1z=-2 とおくと
-30=E\times(-3)\times(-2)
から E=-5 であることがわかる.

よって x+y+z=0 のとき
x^5+y^5+z^5=-5(xy+yz+zx)(xyz)
が成立し,(1)(2)と条件により
15=-5\times(-\dfrac{a}{2})\times 1
となり,a=6 である.

なお,x,y,zt についての3次方程式
f(t)=t^3-3t-1=0
の3解であるが,f(-2)\lt 0f(-1)\gt 0f(1)\lt 0f(2)\gt 0 により,3次方程式 f(t)=0 は相異3実解をもつので,
確かに条件をみたす実数 x,y,z が存在することがわかる.

この答案は
「条件をみたす実数 x,y,z が存在するならば,a=6 でなければならない」
というものであり,そのような実数 x,y,z が存在するかどうかは問題にしていないことに注意しよう.それ故,条件をみたす 「x,y,z の存在を確認していないと減点」というおかしな議論にはならない.

なお,もし条件をみたす実数 x,y,z が存在しない場合は
「条件をみたす実数 x,y,z が存在しないので,偽の命題からは任意も命題を導くことができるので,何を書いても正解となる」
ことになってしまうが,受験生はそこまで気にしなくて良い(おそらく出題ミスで大学が叩かれることになる).

複雑なものが苦手ということなら,z を消去すると次のようになる.

[別解]
z=-(x+y) により与えられた条件は
3xy(x+y)=-35xy(x^3+y^3)+10(xy)^2(x+y)=-152(x^2+xy+y^2)=a
となり,整理して
xy(x+y)=-1xy(x^3+y^3)-2(xy)=-3x^2+xy+y^2=\dfrac{a}{2}
が成立する.

(1) xy+yz+zx=xy-(x+y)^2=-(x^2+xy+y^2)=-\dfrac{a}{2}

(2) xyz=-xy(x+y)=1

(3) x+y=uxy=v とおくと
uv=-1v(u^3-3uv)-2v=-3u^2-v=\dfrac{a}{2}
であるから,
uv=-1-u^2+v=-3u^2-v=\dfrac{a}{2}
が成立し,後ろ2つの式から
\dfrac{a}{2}=3,つまり a=6 となる.

なお,u,v の条件から u^2-4v\geqq 0 を導いて x,y が実数であることを示そうとするのは悪手である.

前2つの式から u^3-3u+1=0 が成立するが,z=-u より z^3-3z-1=0 が成立し,結局
t^3-3t-1=0 の3解が x,y,z となることに着目することになるので,最初から x,y,z を解にもつ3次方程式に着目した方が速いことになる.