[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)大阪大学-数学(理系)[1]

2022.03.01記

[1] r を正の実数とする.複素数平面上で,点 z が点 \dfrac{3}{2} を中心とする半径 r の円周上を動くとき,
z+w=zw
を満たす点 wが描く図形を求めよ.

2022.03.01記
1次分数変換の円円対応。

[解答]

z=\dfrac{w}{w-1}\left|z-\dfrac{3}{2}\right|=r に代入して
\left|\dfrac{w}{w-1}-\dfrac{3}{2}\right|=r
となる.整理して |2w-3(w-1)|=2r|w-1| ,つまり |3-w|=2r|w-1| となる.

(i) r=\dfrac{1}{2} のとき,w31 からの距離の比が 1:1 となる点の軌跡であるから,この2点の垂直2等分線,つまり直線 \mbox{Re}(w)=2 である.

(ii) r\neq\dfrac{1}{2} のとき,w31 からの距離の比が 2r:1 となる点の軌跡であるから,アポロニウスの円であり,その直径は 312r:1 に内分する点 \dfrac{2r+3}{2r+1} と外分する点 \dfrac{2r-3}{2r-1} である.よって円の中心はこの2つの分点の中点 \dfrac{4r^2-3}{4r^2-1} を中心とし,直径の半分 \dfrac{4r}{|4r^2-1|} を半径とする円である.

もちろん, |3-w|=2r|w-1| から
w\bar{w}-3(w+\bar{w})+9=4r^2 \{w\bar{w}-(w+\bar{w})+1\}
を経て
(4r^2-1)w\bar{w}-(4r^2-3)(w+\bar{w})+4r^2-9=0
を得るので,

(i) r=\dfrac{1}{2} のとき,
2(w+\bar{w})-8=0 から直線 \mbox{Re}(w)=2

(ii) r\neq\dfrac{1}{2} のとき,
w\bar{w}-\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}(w+\bar{w})+\dfrac{(4r^2-3)^2}{(4r^2-1)^2}=\dfrac{(4r^2-3)^2}{(4r^2-1)^2}-\dfrac{4r^2-9}{4r^2-1}=\dfrac{(16r^4-24r^2+9)-(16r^4-40r^2+9)}{(4r^2-1)^2}=\dfrac{(4r)^2}{(4r^2-1)^2}
から円 \left|w-\dfrac{4r^2-3}{4r^2-1}\right|=\left|\dfrac{4r}{4r^2-1}\right|

となる,としても良い.