[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2022年(令和4年)大阪大学-数学(理系)[2]

2022.03.01記

[2] \alpha=\dfrac{2\pi}{7} とする.以下の問いに答えよ.

(1) \cos 4\alpha=\cos3\alpha であることを示せ.

(2) f(x)=8x^3+4x^2-4x-1 とするとき,f(\cos\alpha)=0 が成り立つことを示せ.

(3) \cos\alpha無理数であることを示せ.

2022.03.01記
有名問題。この問題を見たことがない人は、角の3等分問題を調べておこう。

[解答]

(1) 7\alpha=2\pi より 4\alpha=2\pi-3\alpha であるから
\cos 4\alpha=\cos(2\pi-3\alpha)=\cos 3\alpha

(2) 2倍角を続けて行なうことにより,
\cos 4\alpha=2(2\cos^2\alpha-1)^2-1=8\cos^4\alpha-8\cos^2\alpha+1
であり,3倍角より
\cos 3\alpha=4\cos^3\alpha-3\cos\alpha であるから,x=\cos\alpha とおくと,(1) より 8x^4-8x^2-1=4x^3-3x,つまり
8x^4-4x^3-8x^2+3x-1=(x-1)f(x)=0
となる.ここで x=\cos\alpha\neq 1 より,f(\cos\alpha)=0

(3) f(x)=0有理数x=\dfrac{p}{q}p,qは互いに素)をもつと仮定すると
8p^3+4p^2q-4pq^2-q^3=0
が成立する.よって
q^3=p(8p^2+4pq-4q^2)
となるが,p,qは互いに素なので p=1 が必要で,このとき,
8+4q-4q^2-q^3=0
から
8=q(q^2+4q-4)
となるので,q8 の約数.

よって f(x)=0有理数解を持つとすれば,それは \pm1,\pm2,\pm4,\pm8 のいずれかでなければならないので
f(\cos\alpha)=0 をみたす \cos\alpha(-1\lt\cos\alpha\lt 1) は有理数ではない.

f(\pm1)\neq 0f(\pm2)\neq 0f(\pm4)\neq 0f(\pm8)\neq 0 を示して,f(x)=0有理数解をもたない.よってf(\cos\alpha)=0 をみたす \cos\alpha有理数ではない,としても良い。