[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1997年(平成9年)東京大学前期-数学(文科)[3]

2024.01.15記

[3] r を正の数とする.xyz 空間に原点 \mbox{O}(0,0,0) と3点 \mbox{A}(1,0,0)\mbox{B}(0,1,0)\mbox{C}(0,0,1) をとる.xyz 空間の点 \mbox{P}
|\overrightarrow{\mbox{PA}}|=|\overrightarrow{\mbox{PB}}|=r|\overrightarrow{\mbox{PO}}||\overrightarrow{\mbox{PC}}|=|\overrightarrow{\mbox{PO}}]
を満たすものが2つ存在するための r の条件を求めよ.さらに,この 2 点の座標を r を用いて表せ.

2020.01.11記
普通に計算するのが楽.

[解答]
{\rm P}(x,y,z) とおくと
\rm PA=PB から x=y
\rm PC=PO から z=\dfrac{1}{2}
{\rm PA}=r{\rm PO} から
(x-1)^2+y^2+z^2=r^2(x^2+y^2+z^2)
となるので,y,z を消去して得られる
 2(r^2-1)x^2+2x+\dfrac{r^2-5}{4}=0
が相異2実数をもつ条件を求めると
\sqrt{3-\sqrt{6}}\lt r \lt \sqrt{3+\sqrt{6}},r\neq 1
となり,2点の座標は
\Bigl(\dfrac{-2\pm\sqrt{-2r^4+12r^2-6}}{4(r^2-1)},\dfrac{-2\pm\sqrt{-2r^4+12r^2-6}}{4(r^2-1)},\dfrac{1}{2}\Bigr)
(複号同順)となる.

1997年(平成9年)東京大学前期-数学(理科)[3] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
と同じようにアポロニウスの球で考えると次のようになるが,具体的に2点の座標を求めなければならないので,遠回りな解法となっている.

|\vec{\rm PA}|=r|\vec{\rm PO}| をみたす点 \rm P の集合は \Bigl(\dfrac{1}{1+r},0,0\Bigr)\Bigl(\dfrac{1}{1-r},0,0\Bigr) を直径とする球面,つまり中心 \Bigl(\dfrac{1}{1-r^2},0,0\Bigr),半径 \dfrac{r}{1-r^2} の球面となる.

同様に |\vec{\rm PB}|=r|\vec{\rm PO}| をみたす点 \rm P の集合は中心 \Bigl(0,\dfrac{1}{1-r^2},0\Bigr),半径 \dfrac{r}{1-r^2} の球面となる.

さらに,|\vec{\rm PC}|=r|\vec{\rm PO}| をみたす点 \rm P の集合は {\rm OC} の垂直2等分面上にある.

2つの球面と1つの平面の交わりが2点となる条件を求めれば良い.

\rm P は中心 {\rm N}\Bigl(\dfrac{1}{2(1-r^2)},\dfrac{1}{2(1-r^2)},0\Bigr),半径
R=\sqrt{\dfrac{r^2}{(1-r^2)^2}-\dfrac{1}{2(1-r^2)^2}} =\sqrt{\dfrac{2r^2-1}{2(1-r^2)^2}}
の球と平面 x=y の交わりである円周上にあるので,
R\gt \dfrac{1}{2} をみたす r の範囲を求めれば良い.

\dfrac{1}{4} \lt \dfrac{2r^2-1}{2(1-r^2)^2}
により
(1-r^2)^2 \lt 4r^2-2,r^2\neq 1
となるので,\sqrt{3-\sqrt{6}}\lt r \lt \sqrt{3+\sqrt{6}},r\neq 1 となる.

2点の座標は \Bigl(\dfrac{1}{2(1-r^2)}\pm \dfrac{1}{\sqrt{2}}\sqrt{R^2-\dfrac{1}{4}},\dfrac{1}{2(1-r^2)}\pm \dfrac{1}{\sqrt{2}}\sqrt{R^2-\dfrac{1}{4}},\dfrac{1}{2}\Bigr)
を整理すれば良い.