[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2023年(令和5年)京都大学-数学(理系)[5]

2023.11.23記

[5] \mbox{O} を原点とする xyz 空間において,点 \mbox{P} と点 \mbox{Q} は次の3つの条件(a),(b),(c)を満たしている.

(a) 点 \mbox{P}x 軸上にある.

(b) 点 \mbox{Q}yz 平面上にある.

(c) 線分 \mbox{OP} と線分 \mbox{OQ} の長さの和は1である.

\mbox{P} と点 \mbox{Q} が条件(a),(b),(c)を満たしながらくまなく動くとき,線分 \mbox{PQ} が通過してできる立体の体積を求めよ.

本問のテーマ
ベータ関数(無理矢理だが)

2023.11.23記

[解答]
x 軸に対する回転対称性により,\mbox{Q}y 軸上にあるときの線分 \mbox{PQ} の通過範囲 Dx 軸について回転させてできる立体の体積を求めれば良い.

Dx 軸,y 軸について線対称であるから,Dx\geqq0y\geqq 0 をみたす範囲を求めることにする.このとき,xy 平面において\mbox{P}(t,0)\mbox{Q}(0,1-t)0\leqq t\leqq 1)とおくことができ,このとき直線 \mbox{PQ} の方程式は
\dfrac{x}{t}+\dfrac{y}{1-t}=1
つまり
y=\left(1-\dfrac{1}{t}\right)x+(1-t)
となる.ここでx0\leqq x\leqq 1) を固定したときの
f(t)=\left(1-\dfrac{1}{t}\right)x+(1-t)0\leqq t\leqq 1 における値域は
f'(t)=\dfrac{1}{t^2}x-1=\dfrac{x-t^2}{t^2}
と増減表から,t=\sqrt{x} にて最大値 (\sqrt{x}-1)^2 をとる.

よって求める体積は
2 \displaystyle\int_0^1 2\pi x (\sqrt{x}-1)^2 dx=4\pi  \displaystyle\int_0^1 (x^2-2x^{3/2}+x) dx=4\pi \Bigl[\dfrac{1}{3}x^3-\dfrac{4}{5}x^{5/2}+\dfrac{1}{2}x^2\Bigr]_0^1=4\pi \Bigl(\dfrac{1}{3}-\dfrac{4}{5}+\dfrac{1}{2}\Bigr)=\dfrac{2}{15}\pi
となる.

知っていればこうなる,という身も蓋もない解答をしておく.

[大人の解答]
\mbox{Q}y 軸にあるとき,その包絡線の方程式は第一象限で放物線 \sqrt{x}+\sqrt{y}=1 となることが知られており,この曲線は (x,y)=(\cos^4\theta,\sin^4\theta)0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2})とパラメータ表示できるので,求める体積は
2\displaystyle\int_{\pi/2}^0 2\pi x(\theta) y(\theta) \dfrac{dx}{d\theta}\cdot d\theta=16\pi\displaystyle\int_0^{\pi/2} \cos^7\theta \sin^5\theta d\theta=16\pi\cdot \dfrac{1}{2} \cdot B(4,3)=16\pi\cdot \dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{\Gamma(4)\Gamma(3)}{\Gamma(7)}=16\pi\cdot \dfrac{1}{2}\cdot \dfrac{3!2!}{6!}=\dfrac{2}{15}\pi
となる.