[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

2024年(令和6年)京都大学-数学(理系)[4]

2024.04.13記

[4] 与えられた自然数 a_0 に対して,自然数からなる数列 a_0,a_1,a_2,… を次のように定める.
a_{n+1}=\left\{\begin{array}{ll}\dfrac{a_n}{2} & (a_nが偶数のとき) \\ \dfrac{3a_n+1}{2} & (a_nが奇数のとき) \\ \end{array}\right.

次の問いに答えよ.

(1) a_0,a_1,a_2,a_3 がすべて奇数であるような最小の自然数 a_0 を求めよ.

(2) a_0,a_1,…,a_{10} がすべて奇数であるような最小の自然数 a_0 を求めよ.

本問のテーマ
コラッツの問題(コラッツ予想)(2024.04.16)

2024.04.11記(2024/04/11/233636)
a_n が偶数のときの漸化式って何やねん。

[解答]
b_n=a_n+1 とおくと
b_{n+1}=\left\{\begin{array}{ll}\dfrac{b_n+1}{2} & (b_nが奇数のとき) \\ \dfrac{3b_n}{2} & (b_nが偶数のとき) \\ \end{array}\right.
となる.

(1) a_0からa_3 がすべて奇数のとき,b_0からb_3 はすべて偶数であり,
b_0b_1=\dfrac{3}{2}b_0b_2=\dfrac{9}{4}b_0b_3=\dfrac{27}{8}b_0
が成立する.このとき,b_0からb_3 がすべて偶数である必要十分条件は,b_02^4=16 の倍数であることである.そのような最小の自然数 b_016 であるから,求める a_02^4-1=15

(2) (1) と同様にして求める a_02^{11}-1=2047 となる.

2024.04.16記

コラッツの問題

コラッツの問題 - Wikipedia

自然数から自然数への写像
f(n)=\left\{\begin{array}{ll}\dfrac{n}{2} & (nが偶数のとき) \\ 3n+1 & (nが奇数のとき) \\ \end{array}\right.
をコラッツ写像という.コラッツの問題とは
自然数からなる数列 a_0,a_1,a_2,… がコラッツ写像 f を用いて
a_{n+1}=f(a_n)n=0,1,…
にように定まる数列が必ず1に到達する(1,4,2,1,4,2,…と繰り返す)という問題である.

本問の場合,このコラッツ写像をショートカットしたものとなっている,つまり a_n が奇数のとき,f(a_n) は偶数だから f(f(a_n))=\dfrac{3a_n+1}{2} となるので,コラッツ写像を用いて
a_{n+1}=\left\{\begin{array}{ll}f(a_n) & (a_nが偶数のとき) \\ f(f(a_n)) & (a_nが奇数のとき) \\ \end{array}\right.
によって定まる数列となる.