[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1911年(明治44年)東京帝國大學工科大學-數學[5]

[5] Find the locus of a point \rm P fixed in a straight line \rm AB of constant length which moves with its extremities \rm A,B on two fixed straight lines, making an angle \alpha with each other. To what family of curves does the locus belong ?

2019.03.27記

[5] 角度\alphaを成す2本の定直線上に、長さが一定の線分の両端\rm A,Bそれぞれがあるとき、線分 \rm AB に固定された点\rm Pの軌跡を求めよ。また、その軌跡はどのような曲線か?

もし\rm Pが線分\rm ABの中点ならば、2つの直線がy=\pm(\tan\dfrac{\alpha}{2})xとおけば良いが、中点でない場合も考えるとそれほど得策ではない。

[解答]
m=\tan\alphaとし,2直線をy=0,mxとし,\rm Ay=0上,\rm By=mx上にあるとする.また{\rm AP}=s,{\rm PB}=tで一定であるとする.原点を\rm Oとし,四角形\rm OAPQが平行四辺形となるように点 \rm Qをとる.このとき\vec{OQ}=\vec{AP}であるから,\rm OQ=sで一定となるので,\rm Qの軌跡はx^2+y^2=s^2となる.

\rm PQy=mxの交点を\rm Rとすると、\rm QR:RP=OR:RB=AP:PB=s:tであるから、{\rm Q}(x,y){\rm P}(X,Y)に移す変換は線形変換X=\dfrac{t}{s}x+\dfrac{s+t}{sm}y,Y=yとなり、x=\dfrac{s}{t}X-\dfrac{s+t}{tm}Y,y=Yが成立する。

よって、この関係式をx^2+y^2=s^2に代入して整理すると求める軌跡は(s^2\tan^2\alpha) X^2-2\{(s+t)\tan\alpha\}XY+\{(s+t)^2+t^2\tan^2\alpha\}Y^2=s^2t^2\tan^2\alphaとなる。

円を線形変換で移したものは楕円(円も含む)であるから、この曲線は楕円である。

Holditch の定理
spherical-harmonics.hatenablog.com
の図9を参考にすれば、答が楕円となることが予想できるだろう。

このHolditch の定理に関する問題が
雑誌「高校への数学」の1987年8月号の TAP の広告内の Challenge Tokyo Univ. Series-32 に出題された.

(色々あるかも知れないので解像度は粗くしている)