[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1962年(昭和37年)東京大学-数学(理科)[3]

2022.02.18記

[3] 図で,g は水平面に対する傾き \tan\alpha\dfrac{1}{2} であるような定直線とし, \rm OA\rm AB\rm A で(ちょうつがいで) 連結された長さの等しい棒で, その端 \rm Og 上の定点に固定され, \rm OAg を含む鉛直面内で自由に回転し, 他の端 \rm Bg 上を動くことができるようになっている.

このとき,折れ線 \rm OAB の重心 \rm G\rm OA\rm AB の中点を結ぶ線分の中点)が最低になるのは,\rm OA の水平面となす傾き \tan\theta がいくらになるときか.

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2022.02.18記

[解答]
{\rm OA}=1 として良い.{\rm A} から g に下した垂線の足を \rm Hとすると,中点連結定理から \vec{\rm OG}=\dfrac{\vec{\rm OH}+\vec{\rm OA}}{2} である。

{\rm A}(-\cos\theta,-\sin\theta) とおくと,{\rm A} から g に下した垂線の足 \rm H について,
\begin{pmatrix} \cos\alpha \\ \sin\alpha\end{pmatrix} への正射影ベクトルから,
\vec{\rm OH}=(-\cos\theta\cos\alpha-\sin\theta\sin\alpha)\begin{pmatrix} \cos\alpha \\ \sin\alpha\end{pmatrix}
となるので,
であるから,{\rm G}y 座標は,
\tan\alpha=\dfrac{1}{2} より \cos\alpha=\dfrac{2}{\sqrt{5}}\sin\alpha=\dfrac{1}{\sqrt{5}} だから,
-\dfrac{1}{5}\cos\theta-\dfrac{3}{5}\sin\theta
=-\dfrac{1}{5}\begin{pmatrix} 1 \\ 3\end{pmatrix}\cdot\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta\end{pmatrix}
となる.よってこれが最小となるのは,
\begin{pmatrix} \cos\theta \\ \sin\theta\end{pmatrix}
=\dfrac{1}{\sqrt{10}}\begin{pmatrix} 1 \\ 3\end{pmatrix}
のときだから,\tan\theta=3 のとき.

河合塾72年では 0^{\circ}\lt \theta\lt 90^{\circ} とする,と宣言しているが,上記解答においてはその条件は不要
(但し,\rm O\rm B が一致するときは,\rm A は自由に回転できずに,\rm OAg に垂直な位置にあるとしている)

なお,最小値は -\dfrac{\sqrt{10}}{5} となり,-\dfrac{1}{2} よりも小さいので,\rm O\rm B が一致するときに \rm A は自由に回転できたとしても,この答が最小となっている。この件については、河合塾72年も、きちんと指摘している.