[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1925年(大正14年)東京帝國大學工學部-數學[1]

2022.08.11記

[1] 空間ニ二直線アリ,ソノ一方ガ他ヲ軸トシテ廻轉ストキニ作ル面ノ方程式ヲ求メ,且ツ特別ノ場合ヲ吟味セヨ.

2022.08.14記
2つの直線が異なるとするとき,
(i) 平行なら直円柱面
(ii) 交わるなら直円錐面(但し垂直に交わるときは平面)
(iii) 捩れの位置なら一葉双曲面(但し方向ベクトルが垂直なときは平面)
になる.

[解答]
2直線は異なるものとする.

うまく座標軸をとることにより,
z 軸のまわりに直線 \dfrac{x-p}{a}=\dfrac{y}{b}=\dfrac{z}{c}a^2+b^2+c^2\neq 0)を回転させるとして良い.ここで a,b,cは0にもなり得るとする(例えば b=0 のときは \dfrac{x-p}{a}=\dfrac{z}{c}かつy=0という直線を表す).

回転させられる直線の点は (x,y,z)=\left(p+\dfrac{a}{c}z,\dfrac{b}{c}z\right) であるから,求める曲面の方程式は
x^2+y^2=\left(p+\dfrac{a}{c}z\right)^2+\left(\dfrac{b}{c}z\right)^2
つまり,
c^2(x^2+y^2)=(a^2+b^2)z^2+2acpz+p^2c
となる.

(i) c=0 のとき:
(a^2+b^2)z^2=0 であり,a^2+b^2\neq 0 より z=0 となり,平面である.

(ii) c\neq 0 かつ a=b=0 のとき:
2直線は平行であり,異なるので p\neq 0 である.このとき曲面の方程式は
x^2+y^2=p^2 となり,直円柱面である.

(iii) c\neq 0 かつ a\neq0,b=0 のとき:
曲面の方程式は c^2(x^2+y^2)=a^2\left(z+\dfrac{cp}{a}\right)^2 となり,直円錐面である.

(iv) c\neq 0 かつ b\neq 0 のとき:
c^2(x^2+y^2)-(a^2+b^2)\left(z+\dfrac{acp}{a^2+b^2}\right)=\dfrac{\{(a^2+b^2)^2c - a^2c^2\}p^2}{(a^2+b^2)^2}
となり,
(a) p=0 なら直円錐面 c^2(x^2+y^2)-(a^2+b^2)z^2
(b) p\neq 0 なら一葉双曲面である.