2022.09.01記
2023.09.02記
問題文がわかりにくいが, を の級数として展開し,また の級数として展開せよ,さらに を の級数として展開し,また の級数として展開せよ,という意味ではなく
,
のように と の両方を用いた級数として展開せよ,と考える.もちろん もしくは のうち片方だけで展開できればそれに越したことはない.
例えば, は
でも構わず,これを
と展開しても構わない,とにかく表そうと考える.
もちろん, が自然数であれば, とおくと,和積の公式
から
,,
という漸化式が得られるので を求めることができる.この を第一種チェビシェフ多項式という.
同様に が自然数であれば,
とおくと,和積の公式
から
,,
という漸化式が得られるので を求めることができる.この を第二種チェビシェフ多項式という.
しかし,本文では は有理数であるため,この漸化式は使えない.
そこで先程の の例のようにみると,これは と置くと, のマクローリン展開を行っていることに相当していることに着目し,たとえ が自然数であっても の無限級数として表現することを考えることにする.
そのためには を求める必要があり,この漸化式を作ることが目標となる.
なお,以下の解答は が実数の場合に拡張されている.
とおくと, であるから,
を (や ) で展開することを考える.
,
から
()
が成立する.よってこれを微分すると
となる. は恒等的に0ではないので
,
が成立する.
ライプニッツ則により,一般の関数 に対して
,
が成り立つことに注意して を 回微分すると,
が成立する.よってを代入して
,
整理して
が成立する.ここで , であるから,
が成立する.つまり
が成立する.
これを微分して で割ると
となる.これは
とも表現できる.
本問はどこまで正解とするかは難しい.ここまででも十分だと思うが,さらに進めていこう.
,
から
()
が成立する.これは先程と同じ漸化式であるから,
が成立する.ここで , であるから,
が成立する.つまり
が成立する. これは
とも表現できる.
これを微分して で割ると
となる.
ここで,, の無限和による展開式が複数得られた.
例えば に対して
と2種類の展開式が得られている. が自然数のとき,その偶奇によって展開式を使い分ければ,有限和になる.
(上の展開式を使う)
(下の展開式を使う)
についても,同じように求めることができる(のみの式にするには手間が少しかかるけれど).
結果をまとめると
または
,
であり,
または
である.
例えば,
(上の展開式を使う),
(下の展開式を使う)
となる.
あまりネットでは見かけないが,これがチェビシェフ多項式の(偶奇による場合分けがあるけれども)無限和による表現となっている.