[1] を実数の定数とするとき, の関数 が の範囲でとる最大値を で表す. が実数全体を動くとき, が最小となる の値および の最小値を求めよ.
本問のテーマ
チェビシェフ多項式
2023.08.17記
[解答]
は偶関数だから, における の最大値について考えれば良く,
それは端点と極値の大小を比べれば良い( は明らかに最大値とはならないので除外して良い).
は偶関数だから, における の最大値について考えれば良く,
それは端点と極値の大小を比べれば良い( は明らかに最大値とはならないので除外して良い).
(i) のとき は 単調増加だから
(ii) のとき と ()の大きい方が となる.
よって
のとき (単調減少),
のとき (単調増加)
となる.よって は のときに最小値 をとる.
チェビシェフ多項式
任意の に対して
をみたす多項式をチェビシェフ多項式という. は最高次の係数が である 次式となる.例えば , である.
チェビシェフ多項式にはいくつかの有名な性質があるが,本問で問われている
というものがある.チェビシェフの定理の証明の の場合について述べる.
に注意すると, は で と の間をジグザグする.
(の値は求まるが必要ない)
ではチェビシェフの定理の証明の の場合を証明しよう.
の における最大値 が と仮定する.
このとき なる任意の に対して が成立する.
ここで とおくと, は 次以下の多項式となるが,
,
,
,
であるから,中間値の定理より, なる が ,, の範囲に少なくとも1つずつ存在する.しかし は2次以下であるから,このようなことは が恒等的に となる場合しか起こらない.
以上から, の における最大値 が であることと であることは同値となり,よって題意は示された.
1990年(平成2年)東京大学前期-数学(理科)[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
も参照のこと.