[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1934年(昭和9年)東京帝國大學農學部-數學[1]

2022.08.10記

[1] \displaystyle\lim_{\theta\to 0}\dfrac{\theta-\sin^{-1}\theta}{\sin^3\theta}
ヲ求メヨ.

2022.08.11記

[解答]
一般二項定理より,
\dfrac{1}{\sqrt{1-\theta^2}}=1+\dfrac{1}{2}\theta^2+o(\theta^4)
となり,|\theta|\lt 1 で収束するので,この範囲で項別積分して
\sin^{-1}\theta=\theta+\dfrac{1}{6}\theta^3+o(\theta^5)
となる.よって求める極限は
\displaystyle\lim_{\theta\to 0}\dfrac{-\dfrac{1}{6}\theta^3+o(\theta^5)}{\sin^3\theta}=-\dfrac{1}{6}
となる.

ロピタルの定理を無計画に使うと、分母を3回微分しなければ分母の極限が有限確定値にならないことから,面倒になることがわかる.

\sin(\sin^{-1}\theta)=\theta\sin^{-1}\theta=\theta+a\theta^2+b\theta^3+o(\theta^4)
とおくと \sin x=x-\dfrac{1}{6}x^3+o(x^5)
\theta=\theta+a\theta^2+b\theta^3-\dfrac{1}{6}\theta^3+o(\theta^4)
となり,a=0,b=\dfrac{1}{6} となることがわかる.