[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1935年(昭和10年)東京帝國大學醫學部醫學科-數學[1]

2022.08.10記

[1] 相交ハル二直線ヨリ,夫々定マレル長サノ弦ヲ截リ取ル如キ圓ノ中心ノ軌跡ハ何カ.

2022.08.10記

[解答]
2直線を px+qy=0px-qy=0p,q\gt 0)とし,それぞれの直線から切りとる弦の長さを 2a2ba,b\gt 0) とする.

円の中心を (X,Y) とし,その半径を r とするとき,点と直線の距離の公式とピタゴラスの定理により
r^2-a^2=\dfrac{(pX+qY)^2}{p^2+q^2}r^2-b^2=\dfrac{(pX-qY)^2}{p^2+q^2}
が成立するので,r を消去して
\dfrac{(pX+qY)^2}{p^2+q^2}-\dfrac{(pX-qY)^2}{p^2+q^2}=b^2-a^2
つまり
XY=\dfrac{(b^2-a^2)(p^2+q^2)}{4pq}
が成立する.よって

(i) a\neq b のとき,直角双曲線

(ii) a=b のとき,直交する二直線

XY=\dfrac{(b^2-a^2)(p^2+q^2)}{4pq} をみたす任意の (X,Y) に対して
r=\sqrt{\dfrac{(pX+qY)^2}{p^2+q^2}+a^2}=\sqrt{\dfrac{(pX-qY)^2}{p^2+q^2}+b^2}
をみたす r が存在するので,求める軌跡は
XY=\dfrac{(b^2-a^2)(p^2+q^2)}{4pq}
全体を動くことがわかる.

■ 当時の解答では,「直角双曲線」を単なる「双曲線」または「直交する二直線」を単なる「直線」としているものがあった.