[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1938年(昭和13年)東京帝國大學工學部-數學[1]

2022.07.24記

[1] y軸に平行な直線が同一象限内で楕圓x^2+9y^2=9及び圓x^2+y^2=9を切る點に於いて,之等の曲線に引いた切線の間の角の最大値を求めよ.

2022.07.24記

[解答]
第一象限で考えても一般性を失わない.

x=k0\leqq k\leqq 3)における接線はそれぞれ kx+3\sqrt{9-k^2}y=9 及び kx+\sqrt{9-k^2}y=9である.
よってこの2直線のなす角の余弦
C=\dfrac{k^2+3(9-k^2)}{3\cdot\sqrt{81-8k^2}}=\dfrac{27-2k^2}{3\sqrt{81-8k^2}}
となる.

u=\sqrt{81-8k^2}とおくと k^2=\dfrac{81-u^2}{8}であるから,
C=\dfrac{27+u^2}{12u}=\dfrac{1}{12}\Bigl(\dfrac{27}{u}+u \Bigr)\geqq \dfrac{1}{12}\cdot 2\sqrt{27}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}
となる.等号成立はu=\sqrt{27},つまりk=\dfrac{3\sqrt{3}}{2}のときであり,これは0\leqq k\leqq 3をみたす.

よって求める最大値は\dfrac{\pi}{6}

[別解]
第一象限でx=3\cos\thetaで考えると接線の方程式はそれぞれ
 (\cos\theta) x+(\sin\theta)y=3, (\cos\theta) x+3(\sin\theta)y=3
である.

よってこの2直線のなす角の余弦
C=\dfrac{\cos^2\theta+3\sin^2\theta}
{1\cdot\sqrt{\cos^2\theta+9\sin^2\theta}}
=\dfrac{1+2\sin^2\theta}
{\sqrt{1+8\sin^2\theta}}
となる.t=\sin^2\theta0\leqq t\leqq 1)おくと
 C=\dfrac{1+2t}{\sqrt{1+8t}}
であり,さらにs=\sqrt{1+8t}とおくと1\leqq s\leqq 3
 C=\dfrac{3+s^2}{4s}=\dfrac{1}{4}\Bigl(\dfrac{3}{s}+s\Bigr)\geqq \dfrac{\sqrt{3}}{2}
となる.等号は
s=\sqrt{3}\quad\Longleftrightarrow\quad t=\dfrac{1}{4}\quad\Longleftrightarrow\quad \sin\theta=\dfrac{1}{2} \quad\Longleftrightarrow\quad
\theta=\dfrac{\pi}{6}
のとき成立する.このとき,なす角の最大値は余弦\dfrac{\sqrt{3}}{2}であることから\dfrac{\pi}{6}となる.