2020.10.25記
動点が から まで最短時間で到達するには をいくらにすればよいか.ただし は正の定数である.
2020.10.25記
斜面は普通の力学と同じように進むが,普通の力学だと斜面から水平面へなめらかに移行するので、水平面を進む速さはエネルギー保存の式から で点 の場所によらず一定となる.この問題は斜面から水平面に移行するときにエネルギーを失って速度の水平成分の速さで進むという設定になっている.
以下で考察する点 について グラフ(平面のグラフ)を描くと,最初は原点を頂点とする放物線を描き,点 に到着以降は、点 における放物線の接線を描くことがわかる.
本問の結果を一般化すると, となる.
これに幾何学的意味付けができるかどうかは不明.
, とおくと,, が成立する.
上を加速度 で進むので,動点の への正射影を とすると, は加速度 で進むので をみたす正数 時間で から に到達する.
そのときの速度の水平成分は だから, を時間 で進む.
よって,総時間は に注意すると,
となるので,これを最小にする を求めれば良い.
根号の中を微分して増減表を描くと, のとき最小になる.
同じ解法だが,三角関数のまま処理しても良い.先ほどの設定だと, となるので, となるように設定した.
上を加速度 で進むので,動点の への正射影を とすると, は加速度 で進むので をみたす正数 時間で から に到達する.
この時刻以降の位置 は
で表せるので, に到着する時刻は
つまり
の最小値を求めれば良い. で微分すると
となることと, は第一象限の角であることから,
で,この前後で符号は負から正に変化する.よって,,つまり のとき最小になる.
なお,[別解] を利用すると,放物線が接線にきりかわる場所は
であることがわかり,これは双曲線 のパラメータ表示になっている.そして,この双曲線上の点 について
を最小化すれば良いことがわかる.
この をこのパラメータで表すと [別解] の式が得られる.
ここでは、 の2変数関数の最小化を Lagrange の未定乗数法で計算してみよう.
[解答] の途中から
つまり,(平面の双曲線) という拘束条件の下での
の最小値を Lagrange の未定乗数法で求める.
とおくと
だから, を消去して となる.
これを双曲線の式に代入して整理すると ,つまり が得られ,これから が得られる.
ちなみに最小値は となる.
さて, という項が登場する理由を考えて解いてみよう.
[解答],[別解] の設定とする.
動点の直線 への正射影を として, グラフを描くと,最初は原点を頂点とする放物線を描き,点 に到着以降は、水平方向の速度がそのままに等速運動をするので,点 における放物線の接線を描く.
放物線の接線の性質を利用すると, グラフ,つまり 平面において,放物線の における接線は を通る.このことは, の距離をはじめから等速で進んだときの時間と,本問で考える から に到達するまでの時間が同じになることを示している.
この接線と との交点は,図形の相似から, となるので,これが最小化すべき到達するまでの時間となる.ここで,
から,
(平面の双曲線) であるから,この拘束条件の下での
の最小値を求めれば良い.
この双曲線は とパラメータ表示できるので,
の最小値を求めれば良い. で微分すると
となることと, は第一象限の角であることから,
で,この前後で符号は負から正に変化する.よって,,つまり のとき最小になる.
こんな単純な問題であっても,色々関連付けて解説することができる.