[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1965年(昭和40年)東京大学-数学(理科)[3]

2020.09.28記

[3] 直線 l は双曲線 xy=1 の第一象限にある部分に接し,lx 軸との交点のx座標は2より小さくないとする.この条件のもとでl が変動するとき,四直線ly=0x=1およびx=2で囲まれる部分の面積の最大値を求めよ.

2020.09.28記
変分,いわゆるはみだしけずり論法を用いると,接点が x=1,2 の中点である x=\dfrac{3}{2} のときに最大となる.このとき囲まれる部分の平均の高さは接点のy座標である\dfrac{2}{3} であるから,求める面積は「幅×平均の高さ」の\dfrac{2}{3} である.

2022.05.01記
上記の場合,はみだしけずり論法(変分)を使うまでもなく結論できる.

[解答]
四直線で囲まれる部分は台形であり,直線である l の方程式を y=l(x) とすると,その面積は
\dfrac{l(1)+l(2)}{2}\cdot 1=l\left(\dfrac{3}{2}\right)
となる.xy=1 は下に凸であるから,その接線に対して
l\left(\dfrac{3}{2}\right)\leqq \dfrac{2}{3}
が成立し,等号が成立するときの x 切片 3は2より大きいので題意をみたす.

よって求める最大値は \dfrac{2}{3}

y=f(x) が下に凸のとき,x=\alpha における接線の方程式は
y=f'(\alpha)(x-\alpha)+f(\alpha)
であるから,題意の面積は
S(\alpha)=f'(\alpha)\left(\dfrac{3}{2}-\alpha\right)+f(\alpha)
となるので,
S'(\alpha)=f''(\alpha)\left(\dfrac{3}{2}-\alpha\right)
となるが,y=f(x) が下に凸であるから f''(\alpha)\gt 0 となり,\alpha=\dfrac{3}{2} の前後で S'(\alpha) は符号が負から正へと変化するので極大となる.
(この結果は f(x) が下に凸ならば必ず成立する)