[別館]球面倶楽部零八式markIISR

東大入試数学中心。解説なので解答としては不十分。出題年度で並ぶようにしている。大人の解法やうまい解法は極めて主観的に決めている。

1942年(昭和17年)東京帝國大學(春入學)工學部-數學[2]

2022.05.29記

[2] 原點から楕圓 \dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1 の上の一點へ引いた直線と,その點に於いて外向きに引いた法線との間の角の最大値を求めよ.


2022.05.29記

[解答] a\gt b\gt 0 の場合について考える.

楕円上の点を (a\cos\theta,b\sin\theta) とおくと,この点における接線の方向ベクトルは
(-a\sin\theta,b\cos\theta) であるから,法線の方向ベクトルは (b\cos\theta,a\sin\theta) となる.

これとベクトル (a\cos\theta,b\sin\theta) のなす角度を \varphi とすると
\cos\varphi=\dfrac{ab}{\sqrt{a^2\cos^2\theta+b^2\sin^2\theta}\sqrt{b^2\cos^2\theta+a^2\sin^2\theta}}
=\dfrac{ab}{\sqrt{(a^2-b^2)\cos^2\theta+b^2}\sqrt{a^2-(a^2-b^2)\cos^2\theta}}(\gt 0)
であるから,これが最小となるのは,分母の根号の中が \cos^2\theta の2次関数になることに注意すると
\cos^2\theta=\dfrac{1}{2}
のときであり,その最小値は
\cos\varphi=\dfrac{2ab}{a^2+b^2}
であるから,求める角度の最大値は \mbox{Arccos}\dfrac{2ab}{a^2+b^2} となる.

b\gt a\gt 0 の場合も同じ結果となる(結果が a,b について対称なので)

このとき,\sin\varphi=\dfrac{|a^2-b^2|}{a^2+b^2}\tan\varphi=\dfrac{a^2-b^2}{2ab} であるから,
\mbox{Arcsin}\dfrac{|a^2-b^2|}{a^2+b^2}\mbox{Arctan}\dfrac{|a^2-b^2|}{2ab} と答えても良い.